120万部を突破した“いま一番泣ける”大ヒット恋愛漫画の実写映画化作品『10万分の1』が2020年11月27日(金)より公開となる。
『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(2015年)などで知られる三木康一郎がメガホンをとり、白濱亜嵐と平祐奈のW主演でも話題の本作。学校一の人気者・蓮への片想いが成就した莉乃に“10万分の1”の難病という非常な運命が降りかかる――。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍を見せる若手女優・平祐奈は、この難しい役柄にどんな想いで挑んだのか?
「新しいことに挑戦していこうとする患者さんの姿に、私自身も背中を押されました」
―まず、本作にご出演された経緯を教えてください。
もともと原作漫画が好きでした。初めて読んだときは号泣していまい、ヒロインの莉乃を演じられるというお話をいただいて、すごく嬉しかったです。
#平祐奈 が演じる桜木莉乃の紹介です🌸
— 【映画 10万分の1】キャラクター特集 (@100000_1_cast) September 22, 2020
桐谷蓮が所属している剣道部のマネージャーを務める。
桐谷蓮の事が好きだが自分に自信が持てずなかなか想いを伝えられず...🤦♀️
素直でピュアだが、奥底にはチラっと毒っ気も???😌#10万分の1 pic.twitter.com/lC6oIfJ514
―平さんはこれまで『ReLIFE リライフ』(2017年)や『honey』(2018年)など漫画作品を原作とした映画に出演されることが多いですが、漫画のキャラクターを演じることに難しさは感じられませんか?
役作りの上ですごく難しいこともありますが、漫画はイメージとして想像しやすい部分があるので、二次元から生身の人間にどう近づけるか、寄せていくか、という考え方をしています。漫画重視だけでやっていくと違うなと思うこともあったので、最近、多くの漫画作品に出演するようになって考え方が大きく変わってきました。
【漫画と映画の名場面検証①】
— 【映画 10万分の1】–オフィシャル– (@100000_1_movie) October 26, 2020
1回目は、食堂でお昼ご飯を一緒に食べるシーン🥪
蓮はさらっと莉乃へ話しかけるが…
仕草も目線も完全一致👍#10万分の1 pic.twitter.com/O4m0Jh7vnv
―平さんご自身は漫画はよく読まれますか?
実は漫画を読むことは珍しいことで、小説を読むことの方が圧倒的に多いです(笑)。『10万分の1』は人に薦められて読んでいて、これまで演じてこなかった重い役が新たな挑戦になるなと思いました。楽しみとドキドキが両方あり、ALSという病気の知識を深めながら、準備していきました。
―役作りの面ではALSについてかなりリサーチされたんですか?
実際にALS患者さんの元にお話を伺いに行きました。それからALSを題材にした過去の作品を観て、役作りを深めていきました。
―ALS患者さんにお会いして、どのように感じられましたか?
2年前のことですが、その時にはすでに車椅子に乗られていて、当時のお話を伺いました。難病を抱えているにも関わらず、ご本人はほんとうに前向きで、時間は有限だと仰っていました。この先どうなるか分からないけれど、いま自分ができることを考えて、新しいことに挑戦していこうとする姿。その姿に私自身も背中を押され、その方の思いをこの映画にとって大切なものとして、作品と向き合えていけたらと思いました。
―最初、とにかく莉乃がよく転ぶ姿にはラブコメらしい天真爛漫さがありましたが、病気が発症して進行していく中で、だんだんと彼女が精神的に病んでいく心情の変化はどのように意識されて演じられたのですか?
前半は少女漫画原作の胸キュン場面だったり、日常の幸せな場面が描かれるので、普段の自分としてすんなり演じることができました。そんな幸せの絶頂から、下り坂になっていく変化は難しいところでしたね。ALS患者さんにお会いしたとき、もし実際に自分がこの病気を発症したらどうなんだろうという思いなど、様々に想像力を膨らませながら演じていきました。さらに心情の変化だけでなく、転び方を変えることや、杖のつき方の進行具合など、行動の繋がりを順撮りしているわけではなかったので、自分で覚えて意識しておかなければならず、心情の繋がりよりも、そうした行動の繋がりに難しさを感じました。
「白濱亜嵐さんはすごく気さくな方で、常にフラットで自然体。それに目力がすごいです(笑)」
―蓮役の白濱亜嵐さんとの共演はいかがでしたか?
白濱さんは年上ですが、すごく気さくな方で、常にフラットで自然体です。年上だと感じさせないように初日から話しかけてくださったので、すぐに打ち解け合いました。
何事にも真っ直ぐに進まれてきたんだなという印象がありますね。それでいて少年心を忘れていない感じで、穏やかな雰囲気の方です。蓮くんがキャラクターとしてすごく誠実でまっすぐな役なので、白濱さん自身の性格が役に移っているんじゃないかなと思います。それに目力がすごいです(笑)。台詞を言うときの言葉の重みが強く、説得力がありました。
―おじいさん役の奥田瑛二さんとは何か印象的なエピソードはありますか?
ほんとうに素敵でダンディーな方です。奥田さんがインされた初日からよく話しかけてくださって、ほんとうにおじいちゃんと孫のような関係性でした。そのおかげで役にすんなりと入ることができました。奥田さんを前にすると素敵な空気が醸し出されているので、とてもいい背中の表情がありました。だからこそ、奥田さん演じるおじいちゃんがオムライスを作る場面ではぐっときてしまいましたね。
\11/23は #家族の日👨👩👧/
— 【映画 10万分の1】–オフィシャル– (@100000_1_movie) November 23, 2020
映画 #10万分の1 では家族愛も描かれています😌
家族は誰よりも一番近い存在であり一番の理解者ではないでしょうか?
映画を観終わったあと家族に日頃の感謝の気持ちを伝えてみては💭✨ pic.twitter.com/aZ2EfVlKut
―三木監督とはどのようなやり取りをされましたか?
三木監督は私にすべて委ねてくれました。空気感で会話していた感覚がありましたね。見た目が結構ファンキーなんですが、内心はナイーブな方なんだと思います(笑)。人の感情について細かく繊細に考えていらっしゃる方で、そのぶんツンデレというか、あまり気持ちを表には出されていませんでしたが、愛情深い方だなと思いました。
―撮影中に大変だったエピソードはありますか?
三木監督は現場の空気感を大切にしていて、誕生日会やボウリングをする場面では実際に和気あいあいと楽しんでいました。後半の重たい場面でも現場の空気感はすごく和やかでしたね。莉乃の感情が高ぶる場面が多かったのですが、段取り、テスト、本番と三段階ではなくて、テストがベストだったりするわけです。すると、三木監督が内緒でテスト本番にしてくれていたりと、そうした心遣いがありがたく、三木監督の愛を感じていました。
東京国際映画祭
— 平ゆうな&マネージャー (@harikiri_tiger) October 31, 2020
三木監督と優希美青ちゃんと
これからレッドカーペットを
歩きます💃💃
生配信があるそうなので
ぜひみてねっ pic.twitter.com/Y62v7G8SoK
「女優デビュー作となった是枝裕和監督の『奇跡』がすべての原点になっています」
―平さんが演じられた莉乃は、交通事故によってできた足の生々しい傷痕によって初恋には苦々しい思い出を持っています。平さんご自身は初恋というものをどのようにお考えですか?
幼稚園や小学生の時など、初恋の気持ちって可愛らしいですよね。私が覚えているのは、男女共学になって初めてクラスで気になる子ができて、塾に行く途中、母にそのことを打ち明けた時のことです。それは勘違いだとバッサリ言われてしまい、そこから私にとっての初恋が、もはや何か分からないんです。莉乃とは違いますが、私の場合、母のせいで初恋が苦い思い出となりました(笑)。
―平さんが演技を始めた頃について教えてください。
私がデビューしたのは11歳の時です。おかげさまで来年で10周年を迎えることができます。もともと姉が女優をやっていたことがきっかけで、自分もいつか大人になったら女優になるのかなとは思っていました。でも、まさかそんなに早くから始めるとは思っていませんでしたが、母が私の知らない間に是枝裕和監督の『奇跡』(2011年)のオーディションに募集していたことがデビューに繋がりました。
―女優デビュー作となった『奇跡』のオーディションに受かった時の心境はいかがでしたか?
素直に驚きました。オーディションの段階でやりがいを感じ、何より映画に出られることが嬉しかったです。あの作品がすべての原点になっています。
映画[奇跡]やドラマ[ゴーイングマイホーム]でお世話になりました。是枝監督です♪ニコニコ笑顔で温かく包みこんで下さる監督です。またスタッフの皆さんも家族のように和気藹々で優しく迎えて下さるのでお家に帰ったような気持ちになります♪😋 pic.twitter.com/YnMkYgvION
— 平ゆうな&マネージャー (@harikiri_tiger) February 1, 2014
―お好きな映画を教えてください。
洋画作品ですが、『きみに読む物語』(2004年)や『きっと、星のせいじゃない。』(2014年)、『世界一キライなあなたに』(2016年)などのヒューマン作品が好きです。『きっと、星のせいじゃない。』は安楽死を扱った作品ですが、素敵なロマンティック・コメディです。『10万分の1』に似たテーマ性があり、今回意識することろがあったかもしれません。
―では、目標にされている女優さんはいらっしゃいますか?
吉永小百合さんと宮沢りえさんです。気品があってナチュラルな美人であるところに憧れます。外国の女優さんだとダコタ・ジョンソンさんが好きです。彼女は年を取るごとに綺麗になっていますよね。私もそんなふうに年を取っていけらなと思います。
―平さんご自身も年齢を重ねられていく中で、今後挑戦していきたい、演じてみたい役柄はありますか?
ラブコメ作品のように等身大の役をやっていきたいという気持ちがあって、どうせいつか着られなくなるのなら、制服を着られるうちは着ておきたいという(笑)。でも、漫画原作だけでなく、ALSがテーマである本作のように、メッセージ性の強い作品に出会えたらなと思います。大変な時代だからこそ、前向きになれる明るいお話で、その役を演じたらみんなが元気になれるような役に出会いたい気持ちがあります。
【#10万分の1 メイキング🎬】
— 【映画 10万分の1】キャラクター特集 (@100000_1_cast) November 9, 2020
当時の撮影風景を少しだけ見せちゃいます👀✨
教室での撮影シーン⛹️♀️
映画ではバチバチだけど撮影裏は仲良が良く楽しんでいました😁
皆さんのご来館お待ちしております🌸 pic.twitter.com/4zcKW7nVIg
「本作がALSという病気を知るきっかけになればと思いますし、初恋の甘酸っぱい心を思い出して心から温まってもらえたら」
―最後に、観客の皆さんに向けてメッセージをお願いします。
前半は幸せな場面でキュンキュンするところがたくさんあります。莉乃たちと一緒に気持ちを共有していただいて、ALSを宣告される後半からは、いつもオムライスを作ってくれるおじいちゃんと2人で涙する場面など、自分で演じていてもぐっときてしまうような大切な瞬間があるので、ぜひ注目してほしいと思います。
『10万分の1』は少女漫画原作ですが、キラキラ映画という感じではなく、人間味あふれるものです。まだ16歳の少女が原因不明の病にかかり、いつ何が起きるかわからない状況が描かれます。中高生だけではなく、様々な世代・性別の方に観ていただき、ALSという病気を知るきっかけになってもらえたらと思いますし、同時に初恋の甘酸っぱい心を思い出してほっこりしてもらったり、ぜひ心から温まってもらえたらいいなと思います。
取材・文:加賀谷 健
撮影:井口崇
『10万分の1』は2020年11月27日(金)より全国公開