極悪なインターネット・ミームとして使われ続けたことで世界的に有名なキャラクター「カエルのペペ」。人種差別のヘイトシンボルとして使用されるという悲しき運命を辿ってしまったペペにせまるドキュメンタリー映画『フィールズ・グッド・マン』が、2021年3月12日(金)よりユーロスペース、新宿シネマカリテほかにて全国順次公開される。
米アンダーグランド・コミック界で人気のアーティスト、マット・フューリーが2005年に発表した漫画「Boy’s Club」は、チルでハッピーなキャラクターたちが繰り広げる若者のリアルな日常を描き、カルト的な人気を博した。しかし、その主人公ぺぺが放ったセリフ「feels good man(気持ちいいぜ)」がすべての始まりとなる。いつからか掲示板やSNSには、このセリフと共に“ネットミーム”として改変されたぺぺが溢れだした。
2016年アメリカ大統領選時には、匿名掲示板「4chan」でオルタナ右翼たちが人種差別的なイメージとともにぺぺを大拡散。挙句にADL(名誉毀損防止同盟)からヘイトシンボルとして正式認定される始末……。作者のマットの思いとは裏腹にぺぺの乱用は更に加速し、なんとトランプ大統領の誕生に一役買うまでになり……。SNS、ヘイト、デモ、仮想通貨、大統領選、陰謀論……時代に翻弄され続けるペペの“蛙生”から観た世界の今とは――。
2020年度のサンダンス映画祭で審査員特別賞新人賞を受賞した本作は、監督のアーサー・ジョーンズが友人であるフューリーを助けるべく制作を決意。アニメーションを駆使しながら今もっともホットでダークな問題を浮き彫りにした。さらにNetflixアニメ『ボージャック・ホースマン』(2014年〜2020年)のリサ・ハナウォルトや漫画家のジョニー・ライアンなど、気鋭クリエイターたちも登場。フィクション=ミームが現実世界に影響を与える時代におけるクリエイターの苦しみと喜びも描かれる。
フューリーは、名前は知らずとも誰もがSNSで一度は見たことがある悪名高いペペを救うために、2016年に「#SavePepe」キャンペーンを行うも失敗。漫画「Boy’s Club」で正式にペペが亡くなるストーリーを発表していた。
今度こそ、ペペのイメージを挽回できるのか⁉︎
『フィールズ・グッド・マン』は、2021年3月12日(金)よりユーロスペース、新宿シネマカリテほかにて全国順次公開。