祝・アメコミ映画初のアカデミー作品賞ノミネート!
本年度のアカデミー賞ノミネーションにおける大きな話題の一つは、作品賞候補に『ブラックパンサー』が入ったことだ。
アメコミ(ヒーローコミック)として初のノミネートということで、まずはめでたい。いや普段は「アカデミー賞が最高の賞ってわけでもないし偏りもあるしね」なんて言ってるけど、好きな映画がノミネートされたり受賞したら、やっぱり嬉しいのだった。本作は他にも美術賞、録音賞など計7部門にノミネートされている。
世界中でどれだけの人間がこの映画に夢を見られたか
マーベル・シテマティック・ユニバース(MCU)の一本であり、何よりもまず“娯楽超大作”であるこの映画がノミネートされた理由はと考えると、やはり“社会的意義”が大きいのだろう。
主要キャスト、さらに監督のライアン・クーグラーはじめスタッフの多くも黒人である。ヒーローもヒロインもヴィランも、それを演出するのも黒人ということが与える影響力は大きい。世界中でどれだけの人間が、この映画に夢を見られるかという話だ。映画の内容からすれば当たり前の話なんだけれども。
もちろん大前提として、『ブラックパンサー』は面白いのである。“意義”だけで観客はついてこない。ヒットなどしない。目まぐるしい展開、派手なアクション、そこに主人公ティ・チャラの王として、ヒーローとしての葛藤が“重し”として加わる。
さらにヴィランであるキルモンガーの複雑なキャラクター。主人公と表裏一体、影のような存在だというのは“名ヴィラン”の条件の一つでもあると思うが、キルモンガーはその最良の例だと言っていい。
ワカンダに住みたい! と思わせる世界観
もう一つ、書いておきたいのはアカデミー賞にもノミネートされた美術の素晴らしさだ。ティ・チャラが王となったワカンダ、大自然とテクノロジーが一体となったビジュアルが画面に広がった時の高揚感はアクションシーンにも劣らない。
「ワカンダに住みたい!」、思わずそう言いたくなるくらい、大の大人がのめり込める世界観がそこにある。だからキャラクターにもより感情移入できるわけだ。
社会的意義があり、圧倒的な娯楽作であり、キャラクターに加え世界観も魅力的。様々な角度から、それも同じ熱さで語れることが、『ブラックパンサー』の力だと思うのである。
文:橋本宗洋
https://www.youtube.com/watch?v=pEx4fy-yJ1A
『ブラックパンサー』
アフリカの秘境にありながら、世界の誰もが創造出来ないような最新テクノロジーをもつ<超文明国ワカンダ>。ここには世界を変えてしまうほどのパワーを持つ鉱石<ヴィブラニウム>が存在する…。
突然の父の死によって王位を継いだティ・チャラは、この国の“秘密”を守る使命を背負うことになる。ヴィブラニウムが悪の手に奪われると、人類に未来はない――。“秘密”を狙う敵に立ち向かうのは若き国王。漆黒の戦闘スーツをまとい、ブラックパンサーとして戦うティ・チャラは、祖国を……そして世界を守ることができるのか?
制作年: | 2018 |
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監督: | |
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