10月11日は、「女の子の権利」の促進を広く国際社会に呼びかける日「国際ガールズ・デー」。世界中の若い女性たちが直面している問題に取り組むことを訴えるために、2012年に国連によって定められた。世界各地で女の子自らが声をあげ、彼女たちを応援するイベントやアクションが行われる。
近年、エンターテインメント業界でも問題視されるジェンダー・ギャップの課題に対して、女性自らが率先して声をあげる出来事も少なくない。過去には、トップ女優シャーリーズ・セロンが「(アクション映画で成功しなかった場合)多くの女性がセカンドチャンスを得られない。でも、男性が映画を作って失敗した時には、何度もチャンスを得ることができる」と赤裸々に語ったことも。また、2018年カンヌ国際映画祭で審査委員長をつとめた女優ケイト・ブランシェットなどが参加した男女不平等を訴えるウィメンズ・マーチでは、映画祭での男女格差の是正を訴えた。ここ数年で、女性監督作品の出品数は増えており、今年度の同祭では、選出された作品の4分の1が女性監督作品となった。映画業界でも確実に、男女格差の是正が進められている。
https://www.instagram.com/p/CGDzsHSF9Iu/
いま世界で注目される“ガールズムービー”に共通点とは!?
2019年に公開されたガールズムービーの共通点は女性が監督を務めている作品が多いことだ。今年日本でも大ヒットした『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(監督:グレタ・ガーウィグ)や『はちどり』(監督:キム・ボラ)、公開中の『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(監督:オリヴィア・ワイルド)など、女性監督ならではの視点で描かれる作品が人気だ。今秋~冬にも女性監督の話題作の公開が控えているので、一挙にご紹介したい! ぜひこれらの作品でガールズ・パワーを感じてみてほしい。
https://www.instagram.com/p/B4aJ30wH8jA/
自由や未来のために奮闘する少女たちの情熱と輝きを描く!『パピチャ 未来へのランウェイ』
2019年のカンヌ国際映画祭・ある視点部門に正式出品され大きな話題となった映画『パピチャ 未来へのランウェイ』が2020年10月30日(金)よりBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開される。
本作は、18歳までアルジェリアで暮らし、この映画が長編映画監督デビュー作である、ムニア・メドゥール自身の経験から生まれた。アルジェリアで1991年に始まった内戦、いわゆる<暗黒の10年>を舞台に、過激派のイスラム主義勢力によって内戦下で横行していた弾圧の真実を、ファッションデザイナーを夢見る少女ネジュマの視点で劇的かつ瑞々しく描ききっていく。
https://www.instagram.com/p/Byp0MeViDab/
ネジュマをある悲劇が襲い、彼女は仲間とともに自分たちの自由と未来のために大学寮でファッションショーを行うことを決意。真っ白な伝統的な衣装布“ハイク”(アルジェリアをはじめ北西アフリカ諸国のムスリム女性が着用するもの。フランスからの独立戦争の時代に女性が身につけて武器を隠していた)をドレスにリメイクするという大胆な発想と、愛する国への想いを武器に、日に日に過激化していく抑圧に立ち向かう。
生涯忘れ得ぬ痛みと喜びを人生に刻んだ恋を鮮烈に描く!『燃ゆる女の肖像』
2019年のカンヌ国際映画祭で脚本賞とクィアパルム賞をW受賞したセリーヌ・シアマ監督最新作『燃ゆる女の肖像』は、2020年12月4日(金)TOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開となる。
物語は、18世紀、フランス・ブルターニュの孤島が舞台。望まぬ結婚を控える貴族の娘と、彼女の肖像を描くことになった女性画家。結ばれるはずのない運命のもと、一時の恋が永遠に燃え上がる――。
シアマ監督は、カンヌでクィアパルム賞(LGBTやクィアをテーマにした映画に与えられる賞)を受賞した初めての女性監督となったが、全編を通してほぼ女性のみにより繰り広げられ、今を生きる女性を巡る数々の問題(結婚、非婚、出産、仕事など)を鮮やかに革新的に描き出す。
https://www.instagram.com/p/B69CVpcoeZr/
ハリウッドのトップ女優のひとりであるシャーリーズ・セロンが「この映画を本当に愛している」と絶賛し、アカデミー賞女優ブリー・ラーソンは“後世に残したい作品”に本作を挙げ、『マティアス&マキシム』(2019年)の天才監督グザヴィエ・ドランをして「こんなにも繊細な作品は観たことがない」と夢中にさせるなど、今を煌めく映画人を次々に虜にしている話題作だ。
日本でも社会現象を巻き起こした大ベストセラー小説が原作『82年生まれ、キム・ジヨン』
現在、新宿ピカデリー他で全国公開中の『82年生まれ、キム・ジヨン』は、「韓国の1982年生まれの女性で最も多い名前」である“ジヨン”という名を持つ平凡な女性の、少女時代から結婚、出産に至るまでの人生を通し、女性の生きづらさを描いていく。
監督は短編映画で注目され、本作が長編デビュー作となるキム・ドヨン。自身も2人の子を持つ母である彼女の繊細な演出は、現代の女性の生きづらさを描いた原作を、すべての人たちの心を震わせる物語に見事に昇華させている。観る者は、ジヨンの人生を通して“違和感”と“痛み”の正体と未来への希望を知ることになるだろう。
2021年には、スカーレット・ヨハンソン主演マーベル最新作『ブラック・ウィドウ』(監督:ケイト・ショートランド)など女性が活躍する映画が公開される。この作品もまた、女性が監督をつとめていることでも話題だ。期待して待ちたい!
https://youtu.be/dIDq6jyOtQk