スチャダラANI、再びカンフー映画に想いを馳せる
どうもアニです。
Netflixオリジナル・ドキュメンタリー『鉄拳とジャンプキック -カンフー映画の舞台裏-』(原題『IRON FISTS AND KUNG FU KICKS』)というのを観ました。香港のカンフー映画が映画製作に与えた影響を探るドキュメンタリーで、そんなにカンフー映画に詳しくないので、知らないことも多くて面白かったです。
内容はルーツから最新まで網羅しています。自分が小学生、中学生ぐらいの頃はブルース・リーとかジャッキー・チェンの映画をテレビでよくやってたんですが、民放各局に映画をやる番組があって、ジャッキーの映画とかはそれでよく見てました。まだビデオデッキがそんなに普及してない時代だったし、レンタルビデオもない頃だったんで、映画はテレビで見る時代だったんでしょうね、今思うと。だいたいジャッキー映画が放送された次の日は学校でカンフーの真似事して遊ぶ、みたいな時代でした。
その後、ヒップホップに夢中になって、カンフー映画よりもヒップホップのことばかり考えるようになったんだけど、1993年に出たウータン・クランの1stアルバム「Enter the Wu-Tang(36 Chambers)」(邦題「燃えよウータン」)の影響で、またカンフー映画にハマる羽目に。
でも、ウータンが影響を受けたカンフー映画はショウ・ブラザーズとか全然知らない作品ばっかりで、唯一知ってるといえば、アルバムタイトルの元になってる『少林寺三十六房』(1977年)くらいで、途方に暮れた経験アリです。
この『鉄拳とジャンプキック』には何故かウータン・クランの話は一切出てこないんだけど、70年代のニューヨークではブラックムービーとカンフー映画は2本立てで上映されててみんな観てた的な話とか、初期ブレイクダンスの動きはカンフー映画の動きを真似してるみたいな話が出てきて、なるほどと思いました。確かに似てるし。あと、テレビでいつも夕方にカンフー映画やってた的な話もあって、向こうのB-Boyはだいたいカンフー映画好きらしいです。
ショウ・ブラザーズのカンフー映画をNetflixで履修!
それで今、Netflixに結構な数のショウ・ブラザーズのカンフー映画が配信されてるんで(2020年9月現在)、ステイホーム期間に一通りみるという修行をしました。『少林寺三十六房』に『続・少林寺三十六房』(1980年)と『新・少林寺三十六房』(1984年)があることを初めて知りました。主演は3本ともリュー・チャーフィー(ゴードン・リュウ)だけど、全部違う話だったりして。
最初の『少林寺三十六房』は名作で、80年代の映画の特訓シーンに影響を与えてるらしいです。ショウ・ブラザーズ映画の感じや質感が、なかなか馴染みがなくて新鮮だったりして。何時代のお話なのか、現代から何年くらい前なのかがよく分からないんだけど、清の時代が多くて、日清戦争って明治時代だから、100年くらい前なのかとか思ったり。
その他にも『少林拳対武当拳』(1980年)、『少林拳対五遁忍術』(1982年)、『空とぶギロチン』(1975年)、『続・空とぶギロチン ~戦慄のダブル・ギロチン~』(1978年)、『五毒拳』(1978年)、『秘技・十八武芸拳法』(1980年)あたりを観て、Huluで『キング・ボクサー/大逆転』(1972年)、『少林寺VS忍者』(1979年)を観るという修行がステイホームの間に行われたのでした。
結構どれも残酷描写がスゴくて血がドバドバ出たりするんだけど、今みたいなリアルな血ノリじゃないので、ちょっとユルめな感じでしたね。個人的には『五毒拳』がムカデ、ヘビ、サソリ、イモリ、カエルといった毒を持ってる動物の形の拳法使いの話が面白かったです。危険すぎて呪われた拳法だったりして。
『少林拳対五遁忍術』は少林拳の使い手と日遁、水遁、木遁、土遁、火遁の忍者の死闘を繰り広げるといった、ちょっと変わった内容でした。一方、『少林寺VS忍者』は中国に嫁いだ日本人妻との夫婦喧嘩の延長で、なぜかカンフーと日本の武道家たちとの決闘になってしまうという内容で、最後は壮絶な殺し合い展開にはならず、ちょっと意外でした、主演はゴードン・リュウで、日本の武道家のボスは倉田保昭でした。
『空とぶギロチン』は清の皇帝の命令で作られた殺人兵器の恐怖を描く、残酷さが飛び抜けた作品でした。『キングボクサー/大逆転』はアメリカでのタイトルが『Five Fingers Of Death』でアメリカでは人気のカンフー映画らしく、ウータン・クランも影響を受けた映画として挙げてたり、『キル・ビル』(2003年)の元ネタとしても有名なんですが、音楽も『鬼警部アイアンサイド』(1967~1975年)に似た曲だったりして、そういうところがアメリカで人気なのかな、と思ったり。
カンフーがポップカルチャーに与えた影響を再認識! そして『コブラ会』で再びNetflix沼へ
ウータン・クランのリーダー、RZAはカンフー映画好きが昂じて自分で監督・主演で『アイアン・フィスト』(2012年)っていう映画を作ってるんだけど、それはやっぱりショウ・ブラザーズ風味な映画でした。
カンフー映画って基本、貧者が権力者に戦いを挑むところが国や人種を超えて人気なところなんじゃないかと『鉄拳とジャンプキック』では分析してたけど、そうなのかも。あと、ジャッキー・チェンのアクションがパルクールに影響を与えてるとか。それと『マトリックス』のヒットでカンフー的なアクションがイケてるものになったとか、ワイヤーアクションとかがそれ以降に流行ったりとか。
いろいろとカンフー映画のことが知れて、とても為になったなと思ってたら、Netflixで『ベスト・キッド』(1984年)のその後を描く『コブラ会』シリーズ(2018年~)の配信が始まってしまい、まだまだ修行は続きそうです。では、また。
https://www.youtube.com/watch?v=Yg28g__BEjo
文:ANI(スチャダラパー)
『鉄拳とジャンプキック -カンフー映画の舞台裏-』はNetflixで独占配信中
『鉄拳とジャンプキック -カンフー映画の舞台裏-』
悪を討つ鉄拳、飛び散る血しぶき、華麗な足技。世代を超えて愛されるカンフー映画の栄光の歴史と驚くべき舞台裏。
制作年: | 2019 |
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監督: |