イップ・マンが愛弟子ブルース・リーとアメリカで再会!
功夫(クンフー)映画史に残る大傑作シリーズ(何しろハズレが一つもない)、その最新作にして最終作『イップ・マン 完結』が、いよいよ日本でも見られることになった。
今度の舞台はアメリカ。弟子であるブルース・リーの招待でサンフランシスコに渡ったイップ・マンは、この地で武術を教えるリーの成長を確認しつつ、白人からの差別も目の当たりにする。一方で中国人コミュニティの閉鎖性にも直面せざるを得ない。
また、イップ・マンの渡米には別の理由もあった。妻の死後、反抗的になり学校でも問題を起こすようになった息子の留学先探しだ。“中国人の誇り”と“家族愛”。シリーズに共通するテーマがここでも見られる。
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嫌でも燃える展開! 名匠ユエン・ウーピンはブルース・リーをどう描いた?
さて、本作ではこうしてブルース・リーが(これまでのゲスト的な感じではなく)ガッチリ内容に絡んでくるわけだ。期待通り、リーのバトルシーンもある。演じるはチャン・クォックワン。そう、『少林サッカー』(2001年)のゴールキーパーである。
見事な完コピ、プラス現代の映像技術で描かれるブルース・リーの動き。しかもアクション監督は名匠ユエン・ウーピンだ。ということは“ユエン・ウーピンが構築したブルース・リーの闘い”なわけで、それはもう燃えるしかない。まずはここが前半のクライマックス。
イップ・マンが闘うのは中国人を差別し、中国武術を敵視する米軍の空手家。年齢を重ね、病に悩まされながらも怒りをためにためて強大な敵に立ち向かう。これこそイップ・マンの真骨頂、やはり極上の“燃える展開”だ。
“強い詠春拳”を堪能できるバトルの数々! そしてシリーズ完結に涙……!
強敵を相手に、イップ・マンも詠春拳の新たな面で対抗する。詳細は映画を実際に見て確認してほしいのだが、ここで繰り出されるのは、いわば“殺人格闘術としての功夫”だ。その凄味はただごとではなく、相手やシチュエーションによって闘い方(勝ち方)のスタイルを変える本シリーズの巧みさを象徴してもいる。バトル自体に“ストーリー”があるのだ。
そして、シリーズは終わりを迎える。涙なくしては見られないラストが待っている。ブルース・リーに憧れたドニー・イェンが“憧れの人の師匠”を一世一代の当たり役とし、その最終作で“本格競演”を果たす。また、ドニーは本作を自身の最後の功夫映画にすると発言したという。つまりは映画の内も外も、一種の円環構造。見事な“完結”に最敬礼である。
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文:橋本宗洋
『イップ・マン 序章』『イップ・マン 葉問』『イップ・マン 継承』『イップ・マン 完結』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2021年12月放送
『イップ・マン 完結』
1964年、最愛の妻との死別後、愛弟子ブルース・リーの招待を受け息子とともにサンフランシスコに渡ったイップ・マン。しかし、ブルースが開いた詠春拳の道場が、現地チャイナタウンと米海軍との抗争に巻き込まれ……。
制作年: | 2019 |
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2020年7月3日(金)より公開