同名人気漫画を映画化した『のぼる小寺さん』の主人公は、ストイックな個人スポーツとしてすっかり浸透した“ボルダリング”に夢中な女子高生、小寺さん。何度失敗しても目の前の壁に立ち向かう彼女の姿に、同じ体育館で練習している卓球部の近藤は次第に惹かれていく……。
周囲の目を顧みず一直線に壁を登る小寺さんを軸に、多感な年頃ならではの揺れ動く心とほとばしるエナジーを軽快に描いた青春応援ムービー『のぼる小寺さん』に主演する工藤遥と伊藤健太郎が、和気あいあいとした撮影現場のエピソードや“人生の師”について語ってくれた。
工藤「一手一手登っていくボルダリングは“己との戦い”です」
―ボルダリングはいつ頃から練習をされていたのですか?
工藤:撮影の3か月前から週に2、3回ほど練習をして、壁にぶつかりながらも、撮影日までに役に求められるレベルまでもっていくことができました。ただ、撮影で簡単に登れていたわけではなくて、ギリギリの中で登っていましたね。
―映画のクライマックスにおけるボルダリングの課題は難易度の高いものだったと思うのですが、工藤さんが実際に登っているのでしょうか?
工藤:そうです、全部気合で登らせていただきました。私が撮影現場に行って「登れませんでした」となってもしょうがないので、前日にはジムに入って準備をしたり、岩場のシーンもロケハンについていきました。
伊藤:それは知らなかった。頑張ったね!
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―ボルダリングのイメージは変わりましたか?
工藤:プロ選手は簡単に登ってるように見えますが、実際にやってみると本当にしんどいです。登るときは誰の助けも借りずにやるので難しいですし、壁とホールド(壁の突起物)しか見ていないので“己との戦い”でした。一手一手登っていくことに面白みがあるスポーツで、どんなにボロボロになっても登れたときの達成感があまりにも気持ちがいいので、中毒性がありますよ。
―伊藤さんはクライミングに対して、どういった印象を持ちましたか?
伊藤:完成した映画を観ると、小寺さんがひょいひょいと簡単に登っているように見えるじゃないですか。僕も撮影現場で少しやらせてもらったのですが難しかったです。相当頑張ったんだろうなと思いました。空き時間にクライミング部のみんなが練習で登っているというか、好きで楽しんで登っていたので、そういう空気感が作品からも伝わってきます。それが素敵な映画になるきっかけだったのかな。
工藤:撮影以外の時間も、クライミング部は自分たちで課題を作って登っていましたね。ボルダリングをしていて、大変だったという思い出はないんです。常に楽しんでいました。
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伊藤「『とりあえず着てください』って渡された河童の衣装、モジモジくんみたいでした(笑)」
―それぞれが演じたキャラクターについてはどんな印象を持っていますか?
工藤:小寺さんは、あそこまで好きなことに集中して挑む姿が印象的ですね。自分にはない部分だったので、演じていて楽しかったです。可愛らしいなと思ったのが、どんなに食べてもラーメンが全然減っていかないところ。華奢な女の子らしくてギャップを感じましたね。
伊藤:近藤はピュアに人を想い続けられる姿が良かったですね。少し怖いかなと思うこともありますが、小寺さんを自然と目で追いかけてしまう姿が男子高校生の等身大の可愛いらしさなのかな。
―伊藤さんが演じた近藤は卓球部に所属していて、卓球をするシーンも出てきますね。
伊藤:結構、練習しましたよ。初めは動きもコンパクトで、息が切れるほどのスポーツではないんだろうなと思っていたけど、ずっと集中して力を入れていたので想像以上に大変でした。それに、タンクトップ姿で筋肉質な卓球部の部長の指導が厳しかったんです(笑)。反骨性じゃないですけど、言われれば言われるほど「ちくしょう」と思ってやっていました。ただ、監督がなかなかカットをかけてくれないので最後は酸欠状態でしたね。
―撮影現場での伊藤さんの印象は?
工藤:この映画は同世代の俳優が集まっていたんですが、健太郎さんはその中でも兄貴的な存在でしたね。最後のクライミングシーンでも、挫けそうになる私に「アイス買ってやるから頑張れ!」なんて言ってくれたので、「終わったらアイス……!」と思いながら登っていました。撮影用に使っていたクライミング用のシューズはご厚意で持って帰っていいよとプレゼントしていただいたんですけど、最後のクライミングシーンが終わった後、アイスに夢中になりすぎて体育館に忘れてきてしまいました(笑)。映画でも応援する声がたくさん聞こえますが、あれは撮影現場で自然と出てきたもので、それが力になりましたね。
―文化祭のシーンがとても印象的で、お二人の貴重な着ぐるみを着た姿も見られますね。
伊藤:名シーンですね(笑)。なぜかずっと笑われてました。
工藤:健太郎さんの河童姿はとっても似合ってましたよ。
伊藤:みんなには可愛い着ぐるみが用意されていたから、自分のも同じような感じなのかなと思って衣裳部屋に行って、河童の衣装を渡されたら、布切れみたいだったんです……。「とりあえず着てください」って言われたけど、着たらモジモジくんみたいでしたよ。河童ってこういうこと? って (笑)。あの口ばし、ちゃんと動くんです。
伊藤「人生で影響を受けたのは木村拓哉さん。育てていただいたような感覚です」
―青春時代に熱中したことは何ですか?
伊藤:遊び! 本気で遊んでました。
工藤:鬼ごっこですか?
伊藤:いやいや(笑)。中高の同級生と学校行事も本気で取り組んでましたし、遊びも本気でした。
工藤:私は水泳ですね。水泳だけは何があっても一生懸命やっていました。母親が泳げなかったから子供にはそうなってほしくないと思ったみたいで、0歳8か月のときにベビースイミングに入りました。そこから水泳は日常生活の一部で、芸能のお仕事を始めるときも、ギリギリまで水泳を辞めるかどうか悩みましたね。どうしても両立させたかったと思うぐらい水泳に情熱を注いでいました。小寺さんと一緒で、体を使うスポーツは好きなのですが球技は苦手です。
―小寺さんの頑張りに周囲が影響を受けていく物語ですが、お二人が人生で影響を受けたのはどなたですが?
伊藤:木村拓哉さんですね。育てていただいたような感覚です。幼稚園の頃から見続けて、全てを真似してきたので。小さいころから染みついているので、周囲の人から「真似してるの?」と言われても、そんなつもりではなく「これが僕です!」という感じなんです。親の仕草に似るのと一緒な感覚なんです。
工藤:母親ですかね。母は「気合で何とかなる」という根性論を大事にしているタイプなので、弱音を吐くことや負けを認めることを許さない、体育会系の人なんです。そんな母に育てられたので、私も気合でなんとかなると思っているところもあります。
伊藤:今回の役はぴったりだったんじゃない? 監督がギリギリまで工藤さんを追い込んで登らせて、それでも諦めずに登っていくから“気合”がハンパじゃない。
『のぼる小寺さん』は2020年7月3日(金)より新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
撮影:町田千秋
【工藤遥さん】
HM: 市川良子(吉野事務所)、ST:鈴江英夫(H)
【伊藤健太郎さん】
HM:島徹郎(juice)、ST:Kazuaki Kugimiya 釘宮一彰
『のぼる小寺さん』
――彼女がなぜのぼるのか、僕には“まだ”わからない。
教室。ひとりぼっちの近藤は、暇つぶしに携帯をいじっている。
体育館。卓球部の近藤が隣をみると、小寺さんが上を目指している。近藤は小寺さんから目を離せなかった。
放課後。教室に小寺さん、近藤、四条、ありかが残される。「進路調査票、白紙なのお前らだけだぞ」担任の国領が紙を広げる。不登校気味の梨乃が遅れてやってくる。「お前、めちゃくちゃ遅いよ!」あきれる国領。
クライミング部の隣で練習する卓球部の近藤、クライミング部の四条、ネイルが趣味で不登校気味の梨乃、密かに小寺さんを写真に収めるありか。
小寺さんに出会った彼らの日常が、少しずつ変わりはじめる――
制作年: | 2020 |
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監督: | |
出演: |
2020年7月3日(金)より新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー