自宅で『オーメン』パロディ映画鑑賞=宅オーメン!
Netflixオリジナル作品『リトルデビル』(2017年)のメインビジュアルを見て、多くの人は『オーメン』(1976年)を思い出すはず。そして“どこまでシリアスなのか?”と内容を想像すると思う。さすがに狙ってるでしょ? ちょっと似せすぎじゃない? と。
これはきっと、監督の遊び心なんじゃないかな。この場面写真が気になって観てみたら騙された! みたいな。……そう、この『リトルデビル』は純粋なホラーではなく、ホラーコメディ。自宅隔離中にまったり見る『オーメン』(のパロディ)、つまり“宅オーメン”だ!(?)
これは信頼できる!『悪魔のいけにえ』パロディ映画『タッカーとデイル』の監督作
『リトルデビル』は、美しい女性サマンサ(エヴァンジェリン・リリー)と結婚して幸せいっぱいのゲイリー(アダム・スコット)、そして5才になるサマンサの連れ子ルーカスがメイン登場人物。ゲイリーはルーカスと距離を縮めようと奮闘するも、その息子の存在がやがて恐ろしい悪夢を呼ぶことになる。
主演のアダム・スコットは『LIFE!/ライフ』(2013年)の髭ヅラ陰険上司役くらいしか印象がなかったんですが、その印象が功を奏して本作ではいい塩梅に頼りない雰囲気を醸し出しています。エヴァンジェリン・リリーは『アントマン』(2015年)『アントマン&ワスプ』(2018年)のワスプ/ホープ・ヴァン・ダイン役でおなじみですね! 本作はアクションシーンこそないですが、ことごとく息子の奇行を良い方向に考えるポジティブ能天気な母親役は、ある意味かなり怖いです。母は強し。
監督は、本作が長編2作品目となる新鋭イーライ・クレイグ。前作『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』(2010年)はタイトル通り、ただ顔が怖いだけの田舎者タッカーとデイルが、殺人鬼と勘違いされたことで大学生グループと一悶着するホラーコメディで、ほどよくグロくテンポも良いのでサクッと楽しめる映画でした(『悪魔のいけにえ』[1974年]のパロディ)。うんうん、なるほど『リトルデビル』はグロさこそ控えめながらも、そのテイストを踏襲した観やすいホラーコメディに仕上がっています。
ホラー映画オマージュ満載! 家族で観ても映画ファン同士で観ても◎
元ネタは『オーメン』のほかに『ポルターガイスト』(1982年)や『○○○』『○○○○』(あまり書くと楽しみが減るので)のオマージュが隠されていて、それを発見した時にクスッと笑える仕立て。これはホラー好きに対する挑戦状かもしれない!(笑)。
実際、劇中にたくさん映画のタイトルが出てくるので、「ははーん、これは本当に映画好きに対する挑戦状だな!」と、監督のオタクぶりに嬉しくなってきます(しつこい)。とはいえ、あくまで物語とは関係ないところなので、ホラー映画に詳しくなくても十分楽しめますよ。
正直、映画としての厚み不足感は否めないですが、元ネタの恐怖要素に笑いをまぶしたおかげで、家族みんなで楽しめる内容に仕上がっています。映画好き同士で観たら、いくつ映画ネタが出てきたか、その映画を観ているかどうか、なんて話し合うのも楽しそうですね!
文:ゾニー(KING BROTHERS)
『リトルデビル』はNetflixで独占配信中
『リトルデビル』
美しい妻とその連れ子。新しい家族とともに幸せな生活を始めた男を待ち受ける落とし穴。決して笑わない義理の息子の存在が、やがて恐ろしき悪夢を呼ぶ。
制作年: | 2017 |
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監督: | |
出演: |