香港映画界の最終兵器と格闘技最高峰の元王者がガチンコ激突!
『ドラゴン×マッハ!』(2015年)、そして『イップ・マン 継承』(2016年)敵役からの『イップ・マン外伝 マスターZ』(2018年)主演と、格闘アクションの最前線で活躍するマックス・チャンの最新作が『無敵のドラゴン』である。
本作でチャンと“対戦”し、作品ポスターにも大きくフィーチャーされているのはアンデウソン・シウバ。世界最高峰のMMA(総合格闘技)団体であるUFCの元ミドル級チャンピオンで、王座在位最長記録など様々な偉業を成し遂げたファイターだ。史上最も偉大な選手の一人といってもいいだろう。
絶好調のマックス・チャンと格闘技界のレジェンドが一騎打ち。映画好きで格闘技も好きな人間にとって、これはもうドリームマッチだ。70年代にブルース・リーとモハメド・アリが映画で闘っていたら……という例えは大げさすぎるか。でも、それに近いワクワク感がある。
作中、2人は警察署内、フィットネスジム、高層タワー上層階とシチュエーションを変えながら激突。打撃主体から寝技も使う総合格闘技テイストと、ファイトスタイルを変えながらのバトルには、プロレスにおける“デスマッチ”の要素も垣間見えるなど、アイディア満載で非常に楽しい。
しかしこの映画、タイトルやポスタービジュアルから予想されるような、シンプルでストレートな格闘アクションではない。格闘アクション映画として楽しめる作品でありつつ、どうにも一筋縄ではいかないのだ。
文字通り“型”を“破”る予想外の壮絶アクションに刮目せよ!
チャンが演じるのは、格闘技の達人でもある刑事ガウ・ロン。アンデウソンが演じるのはガウのライバル選手で、現在はマカオでジムを経営している男。女性警官殺しを追ううちに2人は再会し、宿命に導かれるように拳を交えることになる。
この“宿命”がハードでダークなのだ。マックス・チャンは寡黙で陰のあるカッコよさが持ち味だからそれで正解なのだが、明朗快活な娯楽作を期待して劇場に行くと「えっ、何これ……」となるだろう。その意外性に目がなじんでくると、いよいよこの映画は面白く感じられる。
そして宿命の果て、マックス・チャンvsアンデウソン・シウバの闘いは、想像を超える決着を迎える。ポイントはタイトルにもなっている“龍(ドラゴン)”だ。本作のフライヤーでは「型破り」という言葉が使われている。映画の煽り文句としては定番だ。が、『無敵のドラゴン』に関しては“文字通り”で、本当に“型”が“破”られている。
筆者は三池崇史監督の『DEAD OR ALIVE 犯罪者』(1999年)を思い出した。その大胆さを、ぜひ味わってほしい。
文:橋本宗洋
『無敵のドラゴン』は2020年3月13日(金)より新宿武蔵野館、3月20日(金・祝)よりシネマート新宿で公開
『無敵のドラゴン』
幼い頃に “伝説の九龍”と出会ったことから、肉体に“ドラゴン・タトゥー”を入れた香港警察捜査官ガウ・ロン。女性警官を狙った連続殺人事件の捜査に乗り出したガウだったが、犯人に婚約者を拉致され失意のどん底に突き落とされ、第一線から身を引いた。だがその後、マカオで同じ手口の連続殺人が起き、ガウの止まっていた時間が再び動き出す。かつての部下を集め犯人に宣戦布告したガウは、事件の裏に隠された巨大な陰謀に立ち向かう―!
制作年: | 2019 |
---|---|
監督: | |
出演: |
2020年3月13日(金)より新宿武蔵野館、3月20日(金・祝)よりシネマート新宿で公開