主演はヴァル・キルマーの童顔イケメン息子ジャック!
号泣必至の難病映画『きっと、星のせいじゃない。』(2014年)のジョシュ・ブーン監督による脚本を、人気俳優ジェームズ・フランコが自ら出演・監督した映画『ふたりの映画ができるまで』(2018年)が、本国から2年越しで公開される。主演はジャック・キルマー……そう、『トップガン』(1986年)や『バットマン フォーエヴァー』(1995年)などで知られるヴァル・キルマーの息子である。
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ジャックは、フランコによる原作をジア・コッポラ(もちろんあの巨匠の姪っ子)が監督した『パロアルト・ストーリー』(2013年)で俳優デビューしているので、おそらくそこでの出会いが本作への出演のきっかけになったのだろう。まだ24歳(2020年2月現在)のジャックだが、意外と最近のハリウッドにもいなかったタイプで、親父のゴツゴツした遺伝子は受け継がなかったらしくツヤツヤした童顔がキュートなイケメンだ。
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なぜ!? ジェームズ・フランコが本気でヌーヴェルヴァーグをやろうとした珍作
そんな『ふたりの映画ができるまで』は、大学生の男子2名と女子1名のグッダグダな色恋を1979年から約10年間を追って描く青春映画。めちゃ怖スリラー『ドント・ブリーズ』(2016年)のジェーン・レヴィと、Netflixオリジナルシリーズ『ゲットダウン』(2016~2017年)や『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年)の主役マイルス/スパイダーマンの声優として知られるシャメイク・ムーアが共演、さらにフランクの人脈がフル活用されているようで、ジュノー・テンプルやデニス・クエイド、ブライアン・コックスまでチョイ役で出演しているという謎の豪華さだ。
お話のほうは、大学で映画製作を学ぶテリー(ジャック)が女優志望のキャサリン(ジェーン)に一目惚れし、親友で写真家志望のチャラ男フィル(シャメイク)と3人で青春を謳歌するも、女ゴコロの分からないテリーはフィルにキャサリンを奪われてしまい……という大学時代を皮切りに、バタバタっと展開していく。テリーは映画バカすぎて現実の彼女を直視できていないのか、どこか『(500)日のサマー』(2009年)の主人公トムを彷彿とさせる男子。なんだかキャサリンを常に映画(自身の課題作品である短編)の登場人物として見ているフシがあり、一見無害なようで一番タチが悪いタイプと言えるだろう。
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しかし本作の面白さは、そういったディティールにあるのではない。劇中、フランコ演じるマクスウェルが「ジャン=リュック・ゴダール作品のリメイクを撮る監督」と紹介されるように、どうも本気でヌーヴェルヴァーグをやろうとしているようなのだ。劇中でゴダールの『女は女である』(1961年)のワンシーンが何度も引用されるし、男女の三角関係と言えばフランソワ・トリュフォー。そういった影響を隠そうともしないので、かつてヌーヴェルヴァーグ作品に挑戦し「大人の色恋は不可解だな……」と頭を抱えた記憶が蘇る映画ファンもいるかもしれない。
これは嬉しいサプライズ! サン・キル・ムーンの音楽に酔いしれる
テリーの存在感の薄さが惜しいが、まだ若いジャックのキャリアを考えれば過剰に期待するほうが酷というものだろう。しかも内容が内容だけに、フランコがいなければ映画化すら難しかったかもしれない。進化か退化かと言われれば後者には違いないし、最新映画と比較すれば女性の描き方にも問題は多々あるものの、フランコが本気でヌーヴェルヴァーグを撮ろうとしたという事実こそが、じゅうぶん鑑賞に値する面白さだ。
なお、これもフランコかブーンの個人的なつながりなのだろうとは思うが、なんと音楽をサン・キル・ムーン(マーク・コズレック)が担当していて(既存曲も提供)、その点においてはヌーヴェルヴァーグとは異なる魅力を放っている。作品との相性はともかく、映画音楽として聴くコズレック曲もやっぱり至高なのであった……。
『ふたりの映画ができるまで』は「未体験ゾーンの映画たち2020」にて2020年2月21日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、4月1日(水)よりシネ・リーブル梅田で公開、青山シアターにて2月28日(金)よりオンライン上映開始
『ふたりの映画ができるまで』
映画監督を目指す大学生のテリーは、映画館で駆け出しの女優キャサリンと出会い一目ぼれ。しかし、連絡先も聞けぬまま別れてしまう。時は流れ映画批評家となったテリーのもとにキャサリンが現れる。映画監督をあきらめていない彼に対し、キャサリンは素晴らしい映画のアイデアを熱く語る。2人は共同制作でシナリオを書くことになるが……。
制作年: | 2018 |
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監督: | |
脚本: | |
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「未体験ゾーンの映画たち2020」にて2020年2月21日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、4月1日(水)よりシネ・リーブル梅田で公開、青山シアターにて2月28日(金)よりオンライン上映開始