ルイーザ・メイ・オルコットの世界的ベストセラー⼩説「若草物語」を、『レディ・バード』(2017年)のグレタ・ガーウィグ監督×シアーシャ・ローナン主演が再タッグを組んで映画化した『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』が2020年3月27日(金)全国ロードショーとなる。本作で、マーチ家の四姉妹の次女ジョーを熱演し、第92回アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされたシアーシャ・ローナンに話を聞いた。
「グレタ監督は『レディ・バード』でやったことを『若草物語』で前に推し進めた」
―「若草物語」といえば、これまでに何度も映画化されていますが、参考のために過去の作品を見ましたか?
ううん。過去の作品を見て、自分が演じることになる役(ジョー)を他の役者さんがどう演じたのかを見て、それが素晴らしい女優さんだったら、ぜったいに自分には出来ないと思って諦めてしまうと思うの。それに、演技をしているときも、その演技を思い出してしまって、頭で考えすぎてしまうことになる。だから、今回は原作だけを読んだわ。あとは、「Marmee & Louisa: The Untold Story of Louisa May Alcott and Her Mother」というノンフィクションを読みました。原作者のルイーザ・メイ・オルコットと母アビゲイルについて書かれた伝記で、背景を理解するうえで役に立ったわ。
―グレタ・ガーウィグ監督とは『レディ・バード』に続いて2作目となりますが、前作との違いは感じましたか?
今回驚いたのは、グレタが私たち俳優陣にしっかりとしたストーリーの骨格を与えてくれたことね。たとえば、若い頃を演じているシーンでは、演技のタイミングが細かく決められていた。同時に私たちは、彼女が決めた枠組みのなかで、キャラクターがどう感じるべきかを模索する自由も与えられたわ。これは彼女が映画作家としてレベルアップしたからじゃないかしら。『レディ・バード』のときよりも、現場をしっかりと掌握しているし、役者やクルーにクリエイティビティを発揮する余地も与えている。『レディ・バード』でやったことを、前に推し進めた感じとでもいうか。
―最初のシーンは3人姉妹の会話がものすごく早いテンポで繰り広げられますが、どのように準備したのですか?
グレタはそれぞれのシーンがどのように展開するのか、脚本を書きながらリアルタイムで想像できる才能を持っているの。『レディ・バード』のときも同じで、脚本は草稿から決定稿までほとんど変わっていない。5ヶ月で完成させなければいけなかった前作とは違い、今作では余裕をもって打ち込むことができたみたいね。実は脚本のページ数の多さから、(映画が)長くなりすぎるんじゃないかと不安になった人もいるくらいなの。でも、グレタには各シーンがどう展開するか完璧に見えていた。さらに、撮影日には追加の台本2ページを渡されて、私たちはその場で覚えることになった。もし、前もって与えられていたら、その量の多さにパニックに陥っていたと思う。でも、現場で追加分を受け取ったときには、みんなそれぞれのキャラクターを理解していて、話し方もマスターしていた。だから、楽しく演じることができたの。
「時代物が続いたから、いまはもっと現代的なものをやりたいな」
―あなたが演じたジョー・マーチのように、周囲に求められることと、自分がやりたいことのあいだで葛藤することはありますか?
この仕事を長く続けていると、その問題にはときどきぶつかります。幸い、私はこの世界で育ったから、自分の成長とともに好みが変わっていくことを尊重してくれる人たちに囲まれている。エージェントとか友達や家族とか。実際、私自身も出会ってみないと、それに惹かれるかどうかが分からない。たとえば、12歳のとき、私は『つぐない』(2007年)に出演することを選択した。もうひとつ(のオファー)はアクション大作で、そちらを選ぶことを期待されていた。でも、個人的には何も惹かれなくて。そんな自分の選択を周囲が認めてくれていることはとてもありがたいことだと思ってる。
―次はどんな映画をやりたいですか?
いまはもっと現代的なものをやりたいなって思ってる。時代物が続いたから。ただ、好みがコロコロと変わるので、実際にどうなるかは分からないんだけどね(笑)。
取材・文:小西未来
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
ルイーザ・メイ・オルコットの世界的ベストセラー⼩説『若草物語』を、『レディ・バード』でその類まれなる表現⼒で映画界に新⾵を巻き起こしたグレタ・ガーウィグ監督が繊細に、そしてみずみずしく描く――。
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: |
2020年3月27日(金)全国ロードショー