『F4』の岩男ザ・シングことマイケル・チクリスの魅力爆発!
映画『10ミニッツ』では冒頭、見るからにワケありガイズたちがバーでなにやら密談中。どうもサクッと銀行強盗を実施しようとしているらしく、真面目な顔で計画を練っている。ただしゴロツキどもの思いつき強盗とかではなく、これまで何度も修羅場をくぐり抜けてきた百戦錬磨の前科者たちのようで、今回も手堅い犯行になりそうだ。
そんな強盗グループを率いる主人公フランクを演じるのは、マイケル・チクリス。『ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]』(2005年)『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』(2007年)で岩男の“ザ・シング”ことベン・グリムを演じていた、あのジャガイモみたいなおじさんである。なかなか渋いキャスティングではあるが、これまで様々な作品でツルピカ・ガチムチのチクリスを見かけてきた映画ファンからすると、不思議と安心するのではないだろうか。表面にだけ特殊メイクすればザ・シングになれる俳優なんて、チクリス以外に考えられないし。
チクリスとウィリスのツルピカコンビの頭上にハテナマーク点灯!
この強盗チームを裏で操っているのが、ブルース・ウィリス演じるレックスだ。どデカいビルの一室で何らかの取り引きを行っているのだが、どうも強盗計画に伴いかなりの大金が動いている様子。フランクたちはそのことを知らずに銀行を襲撃し、目的のブツをゲットするものの、なぜか警報装置が作動し駆けつけた警察と銃撃戦になってしまう。ムショ上がりホヤホヤの弟ジョーと慌てて逃げ出したフランクだったが、何者かに背後から襲われてジョーを殺されたうえ、ブツも奪われてしまった。
てっきり「レックスが後ろで糸を引いていた……」みたいな展開になると思いきや、そのレックスも「何が起こってるんだ!?」とツルピカの頭上でハテナマークが点滅。とにかくフランクを問い詰めんといかん! と部下を派遣するのだが、フランクはフランクで散り散りになった強盗仲間たちを捜し、なんとか真相を突き止めようと必死で走り回っていた。いったい何が起こったのか? 誰かが裏切ったのか? 狙いのブツの中身は? 犯行に要した時間=10分の間に何が起こっていたのか、真相が徐々に分かってくる……という展開だ。
しつこい演出の結果、なぜか猛烈にチルい“スクリュー・ムービー”に!?
犯人捜しの要素が大きく、物語自体は意外とシンプルに消去法で進行。1時間で済むお話をムリヤリ引き伸ばしている感はあるものの、それがいちいち泥臭いので結果的には楽しめてしまう。シーン毎に、これでもか! とばかりに丁寧に説明してくれるのが分かりやすく、悪く言えばもっさり演出なのだが、そのしつこさが逆にチルムービーとして機能していて興味深い。(決して使用をオススメするわけではないが)もしかしたらハイな状態で観たらめちゃくちゃ面白いのでは? と期待してしまうほどの“スクリュー・ムービー”に仕上がっているのだ。
人死の数はそこそこだが、登場人物に過剰に感情移入することもないし、お菓子をポリポリ食べながら観るのに最適な映画と言えるだろう。たまにウィリスが出てきて画面を引き締めつつ、最後に美味しいところをかっさらっていくのはご愛嬌。派手にドンパチやっといて警察くるの遅すぎじゃね? とか野暮なツッコミは置いておいて、『マトリックス』シリーズ(1999年)のエージェントみたいな女性キャラ、アイボリーもクールだし、95分でサクッと楽しめるケイパー&ミステリー映画をチル~く堪能しようではないか。
『10ミニッツ』は劇場発信型映画祭「のむコレ3」にて2020年2月7日(金)よりシネマート新宿で公開中
https://www.youtube.com/watch?v=6OihwEB4KIU
『10ミニッツ』
失敗に終わった銀行強盗。フランク(マイケル・チクリス)が意識を失った10分の間に、共にチームに加わっていた弟のジョーは隣で何者かに撃ち殺されていた...。誰が敵か味方かもわからぬまま弟の死の真相をフランクが探る一方、今回の強盗計画の黒幕であるレックス(ブルース・ウィリス)は自らの手下たちを使って事態の収拾へと乗り出す―。(配給:株式会社ハピネット)
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: |
劇場発信型映画祭「のむコレ3」にて2020年2月7日(金)よりシネマート新宿で公開中