あのラブリーなコンビが今度は気球に乗って高度11000メートル上空へ!
『博士と彼女のセオリー』(2014年)で世界中の涙を搾り取ったエディ・レッドメインとフェリシティ・ジョーンズが、再び実話ベースの作品でタッグを組む! 2020年1月17日(金)より公開の『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』でエディが扮するのは、実在の気象学者ジェームズ・グレーシャー。気球に乗って……つまり生身の体で、酸素ボンベも無く高度11000メートル超の上空に到達した、いまだ破られることのない記録を打ち立てた人物だ。
とはいえ当然ギネス記録とかを目指したわけではなく、ジェームズの目的は気象データを集めること。いま私たちが当たり前のように“天気予報”を享受しているのも、この驚異的な飛行あってのものなのだ。……と受け売りで言ってはみたものの、たった1回の飛行で天気が予測できるようになったわけではないと思うので、彼の功績は人類未踏の高度飛行を成し遂げたこと、という認識に興味を振り切っても構わないだろう。
そしてフェリシティが演じるのは、おきゃんな操縦士アメリア・レン。このキャラクターは、実際にジェームズを乗せた操縦士ら複数人をモデルに創造された架空のキャラクターとのことで、過去に気球乗りの夫を亡くしているという悲劇を抱えた人物。もちろん空の上では、アクロバティックな身のこなしやジェームズとの丁々発止のやり取りでドラマを大いに盛り上げてくれる。やっぱりフェリシティは、根っこに強いものを秘めた女性を演じさせたらピカイチだ。
明日への元気をもらえる“とにかく上を向こう!”なポジティブ映画
なにしろ1800年代半ばのお話なので、ジェームズが「天気を科学する!」とかぶち上げても、理解してくれる人は皆無。王立協会で資金援助を募る計画発表を行うシーンでは、気球を開発したおっさんに「我々は科学者だ。占い師じゃない」とか冷笑されてしまう始末だ。このことが相当悔しかったらしいジェームズが、病的なまでの執念でアメリアをドン引きさせる様子はかなり痛々しい。
さらに、酸欠と寒さで意識が朦朧としたジェームズは超自己チューなクズ野郎モードに入ってしまうのだが、アメリアは無知で無茶な彼を責めることはせず、過去の過ちを繰り返したくないという一心で危険な作業にトライ。危機的状況から脱しようと気球の外面をよじ登るシーンは、なんと実際に900メートル上空を飛ぶ気球の上で撮影したそうで、それを知ってから観ると背筋が凍る。ちなみに本気で寒そうなシーンが続くので、劇場では温かい飲み物の購入をおすすめする。
基本的に本作は、めちゃくちゃ空高く上がって降りてくるだけのお話である。主演2人の息の合った演技の賜物でもあると思うが、このシンプルな行程をここまでドラマチックに仕上げた監督の手腕は見事だ。しかも“高いところ=怖い”系のサスペンスではなく、極限上程で生まれる激しい恋を描くのでもなく、なにかと苦しい世の中だけど、とにかく空(上)を見つめて生きよう! という超ポジティブなお話になっているところが素晴らしかった。こんなドタバタ道中で一体ジェームズはいつデータを取ってたんだ? と思わなくもないが、もれなく明日への元気をもらえるアッパー映画である。
『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』は2020年1月17日(金)より全国ロードショー
『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』
天気を予測することが出来ると唱える気象学者のジェームズは、学界からは荒唐無稽とバカにされ、調査飛行の資金も集められずにいた。諦めきれないジェームズは、気球操縦士のアメリアに「空に連れていってほしい」と頼み込む。2年前に夫を亡くしてから、生きる気力さえ失っていたアメリアだが、悲しみから立ち直るための飛行を決意する。ようやくスポンサーも現れ、アメリアのショーとして、高度の世界記録に挑戦することになる。観客の熱い声援に送られ飛び立った二人だが、立場と目的の違いから狭いバスケットに険悪な空気が流れる。だが、高度7000mの世界記録を破った後、想像を絶する自然の脅威に次々と襲われた二人は、互いに命を預けて助け合うしかなかった。果たして、前人未到の高度11000mで、二人を待ち受けていたものとは──?
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: |
2020年1月17日(金)より全国ロードショー