スター・ウォーズ祭の締めに相応しい大団円エンターテインメント!
まず最初に申し上げます。2019年12月20日(金)から公開中の『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』、心から楽しむことができました!『スター・ウォーズ』ならではの見せ場の連続でテンポもよく、嬉しいサプライズもいっぱい。僕の好きなスターシップがこれでもかと登場! スター・ウォーズ祭の締めに相応しい大団円エンターテインメントです。
僕は、ファンの間では評判が良くないとされる『エピソード1/ファントム・メナス』(1999年)も『最後のジェダイ』(2017年)も好きなので、スター・ウォーズに対して甘いのかもしれませんが、期待してグッズを買って初日に駆けつけて、だけどがっかりして劇場を出たということはいままでなかった。『スカイウォーカーの夜明け』も幸せな気分で帰路につき、そして2回目鑑賞のための予約を早速しました。
ただ、ちょっとここで冷静になってみると、『フォースの覚醒』(2015年)以降のシリーズが苦手という人がいることも理解していますが、恐らくフォースの解釈(描き方)がひっかかるのではないかと。ぶっちゃけ続三部作では、過去6作の時よりもフォースの設定が万能すぎて、ある意味チート、なんでもあり。フォースを“魔法”的に描くようになると、『スター・ウォーズ』はよりファンタジー色が強くなる。このシリーズをスターシップやロボット、光線銃を持った装甲兵等のメカが入り乱れるアクション活劇として楽しもうとすると、フォースの無双っぷりがしっくりこないでしょう。だからスピンオフの『 ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年)が人気なのもわかります。『ローグ・ワン』はフォースがあまり出てこないから、帝国軍とレジスタンス軍のスリリングな戦いを描いたSF戦争アクション映画としての面白さがあります。
『SW』はSFだけどサイエンス・フィクションではなく「スペース・ファンタジー」
ここで僕が思い出すのは、ある本の中で、手塚治虫先生が1作目の『スター・ウォーズ』(1977年)について、「SFではない」と言っていたことです。手塚先生は『スター・ウォーズ』自体は面白いとした上で、宇宙人やロケット、ロボットという小道具がSF的なだけで、本質はファンタジー。『スター・ウォーズ』をSFと言うのは「西遊記」をSFというのに近い気がする、と。確かに、スター・ウォーズにおけるフォースを魔法、ライトセーバーを剣、宇宙人を妖精や妖怪、ドロイドを機械仕掛けの人形とみなせば、ファンタジーものですよね。
そもそも生みの親のジョージ・ルーカス氏も「むかしむかし、はるかかなたの銀河系で……」という、おとぎ話的フレーズを冒頭に入れていますから、彼もハードな宇宙SFを目指しているわけではなかったのでしょう。だから『スター・ウォーズ』サーガは、SFではあるけれどSCIENCE FICTION(空想科学物語)ではなく、“SPACE FANTASY”(宇宙を舞台にしたファンタジーもの)という意味での“SF”なのだというファンも多いのです。
僕はこの手塚先生の解釈に感化されていて、だからフォースが魔法化していっても特に気にならず楽しめているのかもしれません。
続三部作はレイ役にデイジー・リドリーを起用できたことがとても幸運だった
さて『フォースの覚醒』からの続三部作を僕が気にいっている大きな理由は、主人公レイの魅力です。旧三部作のレイア、新三部作のアミダラと、このサーガは女性が牽引してきました。レイアもアミダラも強さの中に愛らしさ、美しさを持っていました。そして、レイには凛々しさがあります。予告等でもお披露目されているシーンですが、砂漠でライトセーバーを片手に一人で宇宙船に挑むときの眼力、そして時折みせる無邪気でとてもキュートな笑顔。
『スカイウォーカーの夜明け』は彼女の正体、運命、宿命、そして選択の物語ですが、レイなら大丈夫!と信じさせてくれるのです。続三部作にとって、レイ役にデイジー・リドリーさんを見出せたことはとても幸運でした。
<映画館を出た後も、あの登場人物たちは今頃なにをしてるんだろう? と気になるなら、その作品を気に入っている証拠>というのが僕の基準としてあるのですが、はるか昔の銀河の彼方にいる彼らの“これから”に、思いを巡らせている自分がいます。だからレイに会いに、また何度も映画館というスペースシップに乗り込むつもりです。
文:杉山すぴ豊
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は2019年12月20日(金)より日米同時公開
https://www.youtube.com/watch?v=yFh16YJ0fAQ&feature=emb_title
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』
スカイウォーカー家の物語を描くスター・ウォーズがついに完結―。
世代を超えた“光と闇の戦い”がついに決着へ
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: | |
声の出演: |
2019年12月20日(金)より日米同時公開