皆さん、動物映画で泣きたいですか? 泣きたいですよね!?
そんなモフ勢の方々にオススメしたいのが、世界中のわんこ好きの涙を強奪した『僕のワンダフル・ライフ』(2016年)『僕のワンダフル・ジャーニー』(2019年)の原作者W・ブルース・キャメロンが脚本を、俳優として『アメリカン・グラフィティ』(1973年)『アンタッチャブル』(1987年)などの出演作で知られるチャールズ・マーティン・スミスが監督を務めた、号泣オッズ高確映画『ベラのワンダフル・ホーム』です。
相思相愛のルーカスとベラは見ているだけで笑顔になる!
本作の主人公(犬)は、廃屋の軒下で野良猫たちとともに育ち、幸せな毎日を送っていた野良ピットブルのベラ(ミックス/雌)。ある日、動物管理局によって母犬たちが捕獲されてしまうが、ベラは向かいに住んでいた青年ルーカスに保護される。ベラは大好きなルーカスに色んな遊びを教えてもらい、暖かな部屋の中で不自由のない生活を送ることに。
ルーカスの母はPTSDを抱える退役軍人だったが、ベラは彼女のセラピー仲間にも癒やしのひとときを与え、いつしかルーカス家に欠かせない存在になっていた。しかし、ベラの存在が保護局にバレてしまい、コロラド州デンバーではピットブルの飼育が違法であることを告げられる。次に見つかったらベラは押収され、安楽死させられてしまうという……。
ピットブル飼育禁止! 理不尽な悪法にブチギレ寸前
動物好きでなくとも「そんな理不尽なことあるかよ!?」とブチギレそうな展開だが、デンバーを始めとするいくつかの街やカナダ、北アイルランドなどではピットブルの飼育が禁止されているのは事実。“危険な犬だから”というのが主な理由なのだが、確かにピットブルは闘犬として飼育・繁殖される犬種ではあるものの、当然ながら悪いのは犬ではなく人間だ。ピットブルが人間にケガをさせたりするのも飼い主の躾の問題であって、犬自体を殺処分するという法律や条例には憤りを覚える。
しかし、本作を観ていて一番ビックリするのは、その辺りの顛末ではない。ルーカス一家は不安なくベラと暮らすために引っ越しすることになり、ベラは一時的に親戚の家に預けられることになるのだが、さすがに犬にはそのへんの事情が把握できず、家に帰りたい一心で外に飛び出してしまう。とはいえ外の世界での生活をいっさい知らずに育ったベラには、見るもの全てが新鮮。食べ物をゲットするルーティンを教えてくれた半野良犬たちの仲間になる道もあったが、ルーカスと過ごした日々を思い出し、ベラはホームを目指す(もちろん既にルーカスたちは旧家にはいないわけだが)。
コロラドの大自然も見どころ! まさかの大型野生動物の登場にびっくり
予告編にチラッと映る大型のネコ科動物が気になった方も少なくないと思うが、あれは野生のピューマである。なんとベラは、旅の途中で人間に親を狩られた子ピューマと出会い、ともに山中でサバイバル生活を送るのだ。この展開はかなり予想外だったが、人間との交流を描いてきた『僕のワンダフル』シリーズとは一味違う、動物同士の野生の交流が泣ける(ちょっと笑える)! 他にも(おそらく)コヨーテなどが登場し、まるで「銀牙 - 流れ星 銀 -」のようなスリリングなアクション展開まで盛り込んでくるものだから恐れ入った。
また、心の問題を抱える退役軍人や同性カップルをごく自然に登場させるなど、ド田舎が舞台の割に多様性に富んでいる点にも注目したい。先述のピットブル問題に関しては胸がスカッとするお仕置き的シーンも用意されていて、まさかのアルマゲドン風展開にもニヤリとさせられる。誰も傷つくことなく、みんながハッピー。何かと世知辛い世の中、こういう映画も定期的に摂取するべきだ。
ちなみに『ブレードランナー』(1982年)などで知られるエドワード・ジェームズ・オルモスがある役で出演しているのだが、愛犬家でもある彼の犬萌え演技にも注目しよう。
『ベラのワンダフル・ホーム』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2021年7~8月放送
『ベラのワンダフル・ホーム』
野良の子犬だったベラは、退役軍人病院で働く学生ルーカスに保護され幸せな毎日をおくっていた。月日が流れ、幸せに育ったベラだが、ある事件をきっかけに家から650kmも遠く離れた場所で迷子になってしまう。「ルーカスに会いたい!」という一心から、ベラは家族のもとに帰るため冒険の旅に出る。待ち受けている困難を乗り越え、ベラは無事ルーカスに会うことができるのか……?
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: |
CS映画専門チャンネル ムービープラスで2021年7~8月放送