観たら納得! まごうことなき『T2』の正統な続編!!
ジェームズ・キャメロンが製作陣に復帰、アーノルド・シュワルツェネッガー&リンダ・ハミルトンが久々の共演を果たす『ターミネーター:ニュー・フェイト』は、『ターミネーター2』(1991年)の“正統な続編”と謳われている。
実際に観て分かったが、これは宣伝文句なんかではない。本当に、マジで『T2』とまっすぐ地続き。つまり『3』(2003年)と『4』(2009年)を完全に無視というか、「えっ、そういう話!?」である。
いや本当に驚いたんだが、しかし、それはそれで矛盾してないのかな、とも思えるストーリーだ。マルチバースともまた違うのかもしれないけど。
気が付いたら画面には女性とメカしか映っていなかったりする
ともかくシリーズ最大にして最初のヒロイン、サラ・コナーが新たな闘いに挑む。そこに絡んでくるのが、メキシコシティで暮らすダニーと、彼女を守るために未来から送り込まれた強化型兵士グレース。
状況設定を一新しつつ、ターミネーターに襲われる(それまでは)平凡な女性を未来戦士が守り、決死の逃避行を展開するという構図は第1作を踏襲している。監督ティム・ミラーいわく「狩る者、守る者、獲物、の“3体”構造」だ。
そこにシュワルツェネッガーがどう関わっていくか……は観てのお楽しみ。しかし、シュワルツェネッガーのシュワルツェネッガーぶりというのか、仏頂面で吐き捨てるセリフの面白さはさすが。最新ターミネーター<REV-9>は設定を活かしきれていない感もあるが、カッコいいのは間違いない。
だが本作のポイントは、なんといっても女性メインキャスト3人だ。サラ、ダニー、グレースが『ターミネーター』シリーズ(1984年~)の新たな歴史を(文字通り)作っていく。キャメロンの“強い女”好きは有名だが、本作ではミラー監督が、それをテーマとしてさらに深く掘り下げたと言ってもいいだろう。気が付いたら、画面には女性とメカしか映っていなかったりする。
この映画は決して“ターミネーターのツボ”を外していない!
もはや男の出る幕なし? でも、それで何も問題はなかったりする。サラもダニーもグレースも“闘う者”として充分すぎるほどに魅力的なのだ。次第に明らかになる物語の核心からは“女の役目”の時代に合わせた変化も感じる。そのあたりもテーマ的な“深化”だろう。
3人の中でも、とりわけマッケンジー・デイヴィス演じる未来強化兵士グレースが最高だ。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015年)のフュリオサを思わせる強さと弱さ。金髪ショートカットの凛々しさは、映画史に残るレベルと強調しておきたい(個人的には『恋しくて』(1987年)のメアリー・スチュアート・マスターソン級)。
グッとくるのは、グレースのキャラクターの中核、単なる物語上の立ち位置を超えたところに“カイル・リースの魂”が受け継がれていることだ。1作目の“守る者”、マイケル・ビーンが演じたカイルである。あのカイルのドラマ性、エモーションを本作は蘇らせた。その意味でも、やはり“正統”なのだ。“ターミネーターのツボ”を、この映画は外していない。
文・橋本宗洋
『ターミネーター:ニュー・フェイト』
一度は回避したと思われた人類滅亡の日”審判の日“。だが、その危機はまだ終わってはいなかった…。人類の命運を握る女性を守る謎の強化型兵士グレースと、女性の命を狙う凶悪に進化を遂げた最新型ターミネーター REV-9との壮絶な攻防。そして彼らの前に現れる、サラ・コナーとT-800。人類と地球の未来をかけた壮絶な戦いの火ぶたが、再び切って落とされる…。果たして人類は再び”審判の日“を回避することはできるのか!?
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: |
CS 映画専門チャンネル「ムービープラス」2022年1月1日(土)20:56他 放送予定!