Twitterに投稿されるや、その感動的なストーリーで多くの人々を感動のるつぼに叩き込んだ、漫画家・世紀末による4コマ漫画『殺さない彼と死なない彼女』。何も興味が持てず退屈な毎日を送る小坂れい(間宮)が遭遇した、リストカット常習犯のクラスメイト鹿野なな(桜井)。2人はいつしか一緒に過ごすことが当たり前になり、互いの心の傷を癒す存在へと変化してゆく。さらに、とにかく地味な地味子に、全人類から愛されたいきゃぴ子、告白が日課の撫子と恋ができない八千代。不器用で純粋な6人の少年少女たちが織り成す物語だ。この悲しくも心温まる作品世界を、10代の若者が抱える心の機微を優しい目線で描いてきた粋才・小林啓一監督が見事に実写映画化、ついに2019年11月15日(金)より公開となる。
実写版『殺さない彼と死なない彼女』の2人の主人公・小坂れいと鹿野ななを演じるのは、熱い注目を集める若手俳優・間宮祥太朗と桜井日奈子。さらに恒松祐里、堀田真由、箭内夢菜、ゆうたろうなど、若者を中心に絶大な支持を得る旬のキャスト陣が、それぞれメインキャラクターを演じる。
華やかで個性的な若手たちが織りなす繊細な物語を、小林監督はどのように紡いでいったのか? 間宮、桜井を交えて語っていただいた。
間宮「スマホと私どっちが大切?に返事する時の“間”を大切に演じた」
―本作は原作と同じく、観客の心に残るような印象的な台詞が多いですね。
桜井:私が印象に残っているのは、鹿野が「私がいなくなっても、世界は何も変わらないよね」という台詞と、それに対して小坂が「世界は変わらないけど、俺はすこし変わるな」という会話のシーン。原作を読んだときから、そのやり取りがすごく好きで。グッとくるシーンですよね。原作は4コマ漫画ですが、心に響く台詞が多いんです。テンポも良くて、心に刺さります。私は原作を読んだときは大号泣でした。
小林:原作には私自身が思いつかないような発想がいっぱい詰まっています。台詞や、若者の感情がストレートに出ている、宝石箱みたいにキラキラした作品ですね。原作にある印象的な台詞を抜粋して映画化しているので、作品に入れた台詞は気に入っています。本作は「未来」をテーマに物語を描こうと思いました。
間宮:自分の台詞も好きなものは多いのですが、その中でも一番好きな台詞は「未来の話をしようぜ」ですね。
小林:その台詞、いいよね。
間宮:そうですね。それと、鹿野から「スマホと私どっちが大切なの?」と聞かれたときに、「スマホ」と一言発するんですが、この「スマホ」という台詞の“間”の取り方を大切に演じました。
一同:(笑)
間宮:それと、ゆうたろうくんのナレーションが良かったです。「いつから彼女は待っていた」というナレーションとか、一連の流れが素晴らしかったですね。出演者自らがナレーションをしているのですが、そのシーンはとても気に入っています。それと、ゆうたろうくんが演じた“八千代くん”と、箭内夢菜さんの“撫子”の2人の組み合わせが可愛かった。
桜井:そう! 可愛かった。夢菜ちゃんの「好き!」シリーズは素晴らしかったです。
小林:ありがとうございます!
間宮:あれは監督の趣味でやってるよね(笑)。
一同:(笑)
小林:そう思われるよね(笑)。何パターンも撮って、こだわりました。
間宮:あのシーンを観たら、ファンになりますよね。映画館の大画面で、夢菜ちゃんに何度も「好き! 好き! 好き!」と言われたら、観終わって映画館を出たときに「俺はずっとファンだったんじゃないか」と思っちゃいます。
小林:箭内さんの素の感じが撫子役にピッタリ合っているので、台詞が伝わってくると思います。
桜井日奈子が羨ましいと思う“女子の関係”とは?
―恒松祐里さん演じるしっかり者で真面目な“地味子”と、堀田真由さんが演じる自分の可愛さを知っていて恋多き“きゃぴ子”の、性格が異なる2人の友情関係については、どのような印象を持ちましたか?
\㊗️#報知映画賞 ノミネート🎉/
— 映画『殺さない彼と死なない彼女』公式 (@korokareshikano) November 11, 2019
なんと地味子役の #恒松祐里 さんが報知映画賞に新人賞でノミネートされております!
おめでとうございます😆✨
✔︎第44回報知映画賞ノミネートhttps://t.co/DiS4p4bixL#凪待ち #アイネクライネナハトムジーク#殺さない彼と死なない彼女 #殺カレ死カノ pic.twitter.com/v51znz0ePT
間宮:女性同士の友情なので、女性の方が共感しやすいキャラクターだと思いますが、女性から見てどうでした?
桜井:女子は、グループの中でいかに上手く立ち振る舞うか、ですね。誰か1人いなくなった途端に、その子の噂話をすることもありますし。ただ、地味子ときゃぴ子には、そういう“苦い”部分がなくて、とてもサッパリした関係です。誰かが悪口を言っていても、2人はその子に同調しません。羨ましいなと思いました。
小林:よく「男性の友情はピュアでいいよね。女性の友情はウソくさい」なんて言われますが、原作者が女性なので、この2人の関係に憧れがあるようにも思えました。みんなにいい顔をして仲良くするのではなく、たった1人、自分のことを理解してくる人を大切にすればいい、という感じ。そこは女性に限らず、男性も共感できるところだと思います。
―お2人が演じられた小坂れいと鹿野なな、お互いのキャラクターの魅力を教えて下さい。
間宮:鹿野の魅力は、桜井日奈子の魅力が芯になっているところですね。鹿野の役はすごく難しいと思います。綺麗な桜井さんが演じるから、同性から反感を買う可能性もあるでしょう。でも、そのハードルを乗り越えた先に、本当の魅力が伝わっていくものだと思います。桜井さんがもともと持っているチャーミングさだけでなく、鹿野を演じていて、ある瞬間から圧倒的に魅力的になる瞬間があったんです。撮影中盤になると、鹿野というキャラクターを自分の中に完全に落とし込んで演じていました。一緒にお芝居しているときの表情とか反応とか、一つ一つが新鮮で可愛かったですね。
桜井:それは小林監督の演出のおかげだと思います。映画の冒頭で蜂を持って廊下を歩いていて、後から来た小坂が追い付くシーンなど、撮影序盤は監督から細かい指示があり、演出して頂きました。監督と話しながら、鹿野のキャラクターを掴めたらいいなと思い、瞬きのタイミングまでこだわりました。
間宮さんが演じる小坂は、映画全体を通して、どんな状態の鹿野を演じても自然体で受け止めてくれる感じがありましたね。そして、小坂はいつも同じ反応じゃなくて、予測不能な反応を返してくれたんです。間宮さんの演技で乗り越えられたシーンが、たくさんありました。
大切にしている誰かとの時間が自分を支えてくれていると改めて気づかせてくれる作品
―最後に『殺さない彼と死なない彼女』を楽しみにしている皆さんに一言お願いします。
小林:孤独を感じた日とか、寂しいなと感じたとき、生きにくいなと思ったときに、『殺さない彼と死なない彼女』を観に来ていただけると嬉しいです。それ以外の時も、ぜひ観に来ていただきたいですが(笑)。
桜井:『殺さない彼と死なない彼女』というタイトルを聞いて、ギョッとする方もいるかと思いますが、恐ろしいお話ではなく、温かいお話になっています。大切にしている誰かとの時間が、いかに自分にとって尊くて、その時間こそが今の自分や未来の自分を支えてくれるものだと、改めて気づかせてくれる作品です。ぜひ、映画館でご覧ください。
間宮:観る前に、こういう風に観て欲しいとか、ここを観て欲しいということはないです。人生における大切な2時間を使って、お金を払って映画館で作品を観て下さること、それだけでとてもありがたいです。この作品を通じて観客の皆さんが、作品を観る前と観た後で何か感じ取っていただいて、その方の人生に少しでも影響を与えることができればいいなと思います。それこそが僕にとって、この作品を作った甲斐になりますから。
『殺さない彼と死なない彼女』は2019年11月15日(金)より公開
https://www.youtube.com/watch?v=M4k9gxYC0dc