大ヒットゲーム『メタルギア』シリーズなどを手掛けてきたゲームクリエイター・小島秀夫が率いる<KOJIMA PRODUCTIONS>が放つ最新作『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』が2019年11月8日(金)、ついにリリースされる。
人類は自由になった両手で、何をつかむのか。
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo) October 16, 2019
2019.11.8 OUT.
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PlayStaion®4用ゲーム『DEATH STRANDING』の舞台は、“デス・ストランディング”と呼ばれる何らかの異常現象が発生したことによって、人類滅亡の危機に瀕した地球。主人公のサム・“ポーター”・ブリッジズは“運び屋”として、都市が分断され動けなくなった人々のために“未来”を運ぶ任務に赴く……という設定のようだが、いまだ詳細は多くの謎に包まれている。
ゲームの枠を超えた重厚な作品を生み出し、世界中に熱狂的なファンを抱える小島監督。映画界にも人脈が広く、本作には主人公サムを演じるノーマン・リーダスをはじめ、レア・セドゥやリンゼイ・ワグナーといった有名俳優だけでなく、ニコラス・ウィンディング・レフン、ギレルモ・デル・トロなど大物監督も出演している。
もちろん、小島監督と親交の深いマッツ・ミケルセンも本作で重要なキャラクターを演じている。奇しくも、マッツ主演最新作『残された者 -北の極地-』と『永遠の門 ゴッホの見た未来』も2019年11月8日公開! ということで、小島監督とマッツの“馴れ初め”や『DEATH STRANDING』制作秘話などを語って頂いた。
「レフン監督は『マッツもいいけど、キアヌがいいんじゃないか?』と僕を説得しようとした(笑)」
―まず、俳優マッツ・ミケルセンを知ったきっかけを教えてください。
まずは『007/カジノ・ロワイヤル』(2006年)ですね。そこから、(ニコラス・ウィンディング・)レフン監督つながりでマッツさんに興味を持つようになりました。ハリウッドに住む友達から「すごい映画を観た! ぜひ観てくれ」と連絡が来て、それがマッツさんも出演しているレフン監督の『ヴァルハラ・ライジング』(2009年)でした。なかなか日本では公開されなかったので、ネットで調べて輸入盤のBlu-rayを購入しました。その作品でレフン監督を好きになって、彼の映画を遡っていく過程で、マッツさんも出演している『プッシャー』(1997年)を観ました。少し経って『ドライヴ』(2011年)の公開もあって、そのタイミングでレフン監督にアプローチをしました。
2015年に独立したんですが、その6~7年前に、デンマークからロンドンに来てくれたレフン監督とお会いしまして、その時にはマッツさんと何かご一緒したいと考えていたので、レフン監督にマッツさんのアドレスを教えていただきました。独立前なので、『DEATH STRANDING』の企画も何もない時ですけど。ただ、そのあとにマッツさんのアドレスがわからなくなってしまいまして、残念ながら連絡を取ることができませんでした。
少し時間が経ってから、デンマークでレフン監督と食事をしたときに、マッツさんに『DEATH STRANDING』の企画をお願いするために、もう一度アドレスを聞いて連絡を取りました。レフン監督はその時、ちょうど『ネオン・デーモン』(2016年)を撮影していたので「マッツもいいけど、キアヌがいいんじゃないか?」と僕を説得しようとしていましたね(笑)。ただ、僕は“マッツ・オンリー”ということで、マッツさんでいくことにしました。
僕が会いたいと思った人とは、僕がどういう人間で、どういう仕事をしていて、どういう物語を作っているのか、なるべくエージェントを介さずに本人に直接話すようにしています。ただ、マッツさんは撮影で立て込んでいてなかなかスケジュールが合わず、まずはSkypeで企画の説明をしました。
―Skypeでお話した際には『DEATH STRANDING』の企画を具体的に説明されたのでしょうか?
シナリオは決まっていなかったので、構想とストーリーボードで企画の説明をしました。それが2016年頃だと思います。マッツさんの反応は悪くなかったのですが、直接会って話すことになりました。マッツさんが『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年)のプロモーションで<サンディエゴ・コミコン>に登壇するというので、そこで初めてお会いして、もう一度ちゃんと説明しました。サンディエゴでは、『デススト』の説明とテーマ、どういう役柄で、どういうテクノロジーを使うのか、といった点についてお話して、それから企画を快諾いただきました。
その次に、イングランドのシェフィールドで3Dスキャンを使って『DEATH STRANDING』の撮影を2日間行いました。撮影現場でトイレに行ったらマッツさんがいて、そのときは2人っきりだったのですが、なぜか僕の年齢を聞いてきました。歳を言ったら「俺より年上だ」と思ったみたいでそれまでよりもさらに紳士的になったので、日本人っぽいなと思いましたね(笑)。その時、たまたま誕生日が近かったので「僕は明後日、誕生日だよ」と伝えたところ、マッツさんがケーキを用意していてくれました。
それと初日の晩に、マッツさんの母国のデンマークが、フランスとハンドボールの国際試合があって、スポーツバーにいたので「ハンドボールを観る!」と言って、マッツさんはチャンネルを変えてハンドボールを観始めたんです。彼はスポーツ好きですから、そこで一緒にハンドボールを観て、デンマークを応援しました。「デンマークを一緒に応援してくれた秀夫」ということが好印象だったみたいです(笑)。
―マッツさんはハンドボールをやっていたのでしょうか?
もともとハンドボールの選手でもあったし、バドミントンもプロ級に上手いみたいです。それと体操もやっていたそうで、実は僕も体操部だったので、2人で“手のマメ”を確かめ合いました。体操部だったかどうかは、手を握ったらわかるんですよ。
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―その後、マッツさんとの撮影はどう進めていきましたか?
シェフィールドでの撮影が2016年8月で、12月に初めてのトレーラーを公開しました。本来の計画であれば、トレーラーを出してからさらに撮影に入る予定でしたが、俳優組合がストに入ってしまい、すぐに撮影をすることができなかったんです。最終的に、2017年の後半にマッツさんの撮影を一気に行いました。他の俳優さんたちは少しずつ撮っていたので、マッツさん的には一気に撮影できて良かったみたいですね(笑)。
―マッツさんとは、実際に会う前と後で印象は変わりましたか?
そのまま変わらず“マッツさん”という感じでしたが、とても頭のいい方ですね。現場では助言をしてくれますし、雰囲気も作ってくれます。そして、ちょっと日本人に近い感じがします。礼儀正しいですし、約束の時間を守ってくれます。レフン監督もそうですが、約束の時間よりも前に到着して先に待っていることもあります。
僕は俳優さんに惚れ込んで役をオファーするのですが、やっぱり現場は“人”じゃないですか。ノーマン(・リーダス)もすごく良い人なので、良い現場を作るには良い人間関係が必要だと思っています。レフン監督からマッツさんは良い人だと聞いていましたし、その時点で現場が大変になるような人だと思ったらオファーはしなかったですね。
<後編に続く>
『DEATH STRANDING』は2019年11月8日(金)発売
『残された者 -北の極地-』は同日より新宿バルト9ほかロードショー
CS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:“北欧の至宝”マッツ・ミケルセン」にて来日密着特番 、『偽りなき者』 2019年11月放送
特集:“北欧の至宝”マッツ・ミケルセン
CS映画専門チャンネル ムービープラスにて『偽りなき者』、来日特番「“北欧の至宝”マッツ・ミケルセン/来日密着特番 マッツ100%」 2019年11月放送