シルヴェスター・スタローンやハリソン・フォード、トミー・リー・ジョーンズなどなど、古希(70歳)を過ぎてもハッスルしているハリウッドスターも少なくなったが、そんな彼らの脂が乗りきったキレッキレの時代、そう1990年代に公開された大作を超ざっくり紹介したい。正直かなり唐突ではあるが、とにかく90年代って良かったですよね。
スタローンがシャロン・ストーンと濡れ場を演じたかっただけ説あり『スペシャリスト』
まず紹介したいのは、スタローンとシャロン・ストーン共演作『スペシャリスト』(1994年)だ。
スタ的には『クリフハンガー』『デモリションマン』(1993年)でキャリアのピークを迎えた翌年、シャロン的には『氷の微笑』(1992年)がエロすぎて炎上(=大ヒット)し、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の『ラスト・アクション・ヒーロー』(1993年)にカメオ出演した翌年という、バブルが頂点に達した90年代半ばのコッテリした時期の映画である。
スタローン演じるレイは義憤の心を持つ元CIA工作員で、街のチンピラを叩きのめすシーンを早々に見せることで腕っぷしの強さを印象づける。かたやシャロン演じるメイは両親の仇討ちに燃える女性で、犯人への復讐を爆破のスペシャリストであるレイに依頼してくる……という展開だ。
そんな本作のウリはズバリ、ド迫力の爆破シーン……ではなく、スタとシャロのベッドシーンだろう。そう聞くと「この時代のシャロン・ストーンの濡れ場はスゴそう!」という誤解を招いてしまいそうだが、正直スタローンのムッキムキな裸しか目に入らない。いや、正確にはエロいところもしっかり見えているのだが、なぜかスタのカラダしか印象に残らないのである。また、まるでヨガのようなスタの筋トレシーンも艶かしく、電話口のシャロンの美声に妄想が止まらず悶々としてしまう姿に萌える(?)。
スリリングな復讐アクションはハリウッド映画ならではだが、心に傷を追った男と女がヤバい案件をきっかけにお互いを慰めあう湿っぽい(エロい)演出は、まるで池上遼一のマンガのよう。また、仇の腐れ金満野郎を演じるエリック・ロバーツやCIA時代のクソ上司ジェームズ・ウッズなど、豪華共演陣のどっしりした演技も胸焼け必至。ちなみに、スタと猫との微笑ましい絡みが見られるという点でもオススメの逸品だ。
非イケオジ演技が長寿の秘訣? 泣き顔ハリソンの名作『逃亡者』
次にオススメしたい、というかオススメするまでもない有名作品が『ハリソン・フォード 逃亡者』(1993年)。いつの間にかタイトルに主演のハリソンの名前を冠しているが、本作は60年代のTVドラマのリメイクなので、同名作品が多すぎるゆえの対策だろう。劇場公開後には幾度となくテレビ放映もされ、“とにかく必死の形相で逃げ回るおじさん=ハリソン”という印象を日本の子どもたちに植え付けたサスペンス・アクション大作だ。
物語のほうは、ハリソン演じる主人公リチャードが妻殺しの容疑をかけられ、その濡れ衣を晴らすべく逃げに逃げまくる、というのが大筋。リチャードを追う刑事サミュエルを演じたのはトミー・リー・ジョーンズで、どっちが主人公なのか分からなくなるくらいの存在感を放ちアカデミー助演男優賞を獲得している。
実際、逃げ惑うリチャードよりもサミュエル視点のほうが感情移入しやすかったためか、後に彼が主人公のスピンオフ『追跡者』(1998年)も公開された。こちらの共演もウェズリー・スナイプスやロバート・ダウニー・Jrと豪華きわまりない。
しかし、ハリソンの魅力は『スター・ウォーズ』『インディ・ジョーンズ』シリーズから共通して、ちょっと情けないところにある。特殊なスキルも超然とした精神力も持っていないし、高いところから飛び降りるときなどは「ぅわ~どうしよ……」みたいな表情で観客を不安にさせてしまう。だからこそ彼のアクションのひとつひとつに手に汗を握り、誰もが「ハリソンがんばれ!」と応援してしまう、そんな今ひとつ非イケオジなところが非筋肉系スターとしてアクション映画で活躍できた秘訣なのかもしれない。
90年代アクション映画といえば避けては通れない『沈黙』シリーズ
「避けて通れない」としてしまったが、スティーヴン・セガール師匠の活躍に関してはこちらの記事でたっぷりご紹介しているので、各自復習していただきたい。正直、師匠の話を何度もするのは辛いものがある。
『スペシャリスト』『逃亡者』『追跡者』『沈黙の戦艦』『暴走特急』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:90年代ゴールデン・スター劇場」にて2019年10月放送
『スペシャリスト』『逃亡者』『追跡者』『沈黙の戦艦』『暴走特急』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:90年代ゴールデン・スター劇場」にて2019年10月放送