シリーズ最新作、早くも登場! スタローン復権でテンションUP↑↑
『大脱出3』、早くも登場である。前作『大脱出2』が2019年3月に日本で劇場公開したばかりだから、かなりのハイペース。その一方で作品の雰囲気がどんどん変化してもいる。
1作目『大脱出』(2013年)はシルヴェスター・スタローン&アーノルド・シュワルツェネッガー共演作として注目された。スタローンが演じるのは警備会社に所属する脱獄のプロ。脱出不可能と言われる監獄から自身が脱出することで、監獄の弱点を指摘するというキャラクターだった。
しかし、単に“仕事”をするわけではなく、そこに陰謀が絡む。そこから『2』でのスタローン(シュワルツェネッガーは出演せず)は、若い登場人物のメンター的存在に。これはこれで“今のスタローン”としてはアリなのかなとも思ったが、しかし映画のテンションはどうしたって落ちてしまう。
そこで今回の『大脱出3』だ。監督・脚本を務めたジョン・ハーツフェルドは大学時代からのスタローンの友人で、同居していたこともあるという(1986年『コブラ』には俳優として出演)。だからというか、映画としてそれが当然というか、本作の“軸”はあくまでスタローン。1作目から直結した復讐の連鎖、その中心でスタローンが闘うことになる。
もうほとんどランボー!? 貫禄・含蓄たっぷりのスタローンを堪能しよう
過去作と同じく監獄が舞台となっているが、今回は“脱獄”ではなく“救出”。1作目にあった頭脳戦の要素よりも、とにかく闘う、暴れるという要素が強い。スタローン演じるレイ・ブレスリンも、脱獄のプロというより“ほぼランボー”といった状態。残虐バイオレンス描写も容赦なく、きっちりR15指定である。
“ほぼランボー”とは、つまり“スタローン度”が濃厚なわけだ。年齢を重ねた貫録、言葉の含蓄には『ロッキー』っぽさも感じさせる。それでいて直情径行な面もあり、前作と比べると“スタ度”は倍増したと言っていいだろう。
加えて『エクスペンダブルズ』的というのか、共演者たちの見せ場もたっぷり。『2』に続いて出演のデイヴ・バウティスタはパワフルさと茶目っ気が同居するナイスなキャラを好演。バトルシーンでは自身のスタントダブルであるロブ・デ・グルートと肉弾戦を展開する。なにしろバウティスタのスタントダブルなわけで、肉体的にも動き的にも説得力抜群。おそらく映画史上初登場の絞め技も繰り出されるので、格闘技ファンも見逃さないでほしい。
マックス・チャン参戦! マッスル勢とは好対照なクンフー・スターの活躍に期待
そして今回、初参戦のマックス・チャン。『ドラゴン×マッハ!』(2015年)、『イップ・マン 継承』(2016年)とそのスピンオフ『イップ・マン外伝 マスターZ』(2018年)と、我々を魅了し続ける遅咲きのクンフー・スターだ。アメリカ進出を果たし、本作でもスタイリッシュなアクションを展開してくれる。スタローン、バウティスタの武骨っぷりと好対照なチャンの参戦によって、シリーズは熱気を取り戻した。もしかしたら、スタローンもチャンに煽られての奮闘だったんじゃないかと思える。
バウティスタとマックス・チャンは、アクション映画ファンならそのキャリア、出世街道をしっかり追っていきたい存在。いずれ本作は、両者の(『マスターZ』に続く)共演作として記憶される可能性もある。
文:橋本宗洋
『大脱出3』は2019年9月27日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
『大脱出3』
世界的ハイテク企業の社長令嬢ダヤが何者かに誘拐された。かつてダヤの身辺警護を務めたシェン・ローは、世界唯一の脱獄のプロフェッショナル、レイ・ブレスリンを訪ねる。デローサから、ダヤは謎に包まれた秘密監獄“悪魔砦”に囚われているとの情報を得たレイは、シェンとデローサとともにダヤの救出に動く。ところが、レイの公私にわたるパートナーのアビゲイルが“悪魔砦”に拉致されてしまう。犯人は、かつてレイを裏切り殺された元相棒の息子、レスター・クラーク・Jrだった。復讐心に燃えるクラーク・Jrの卑劣な行為に、ついにレイの怒りが爆発する!
制作年: | 2019 |
---|---|
監督: | |
出演: |
2019年9月27日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー