ニール・アームストロングはたった1歩に人類の跳躍を見ることができる男
―ニール・アームストロング(アポロ11号の船長)は英雄ですから、映画化するにあたって、いくらでも輝かしいサクセスストーリーに仕立て上げられると思のですが、『ファースト・マン』は“死の臭い”がする人間ドラマになっています。チャゼル監督が、あえて本作でそういった描き方をした理由を教えてください。
デイミアン:僕にとって重要だったのは、あまり知られていない彼の物語を描くこと。1960年代に宇宙へ飛び立つことについて、我々は簡単だと思ってしまいますが、それがいかに大変だったのか、家族がどれだけ苦労したのか、そして人類初の月面着陸に向かってNASAの研究がいかに困難を乗り越え突き進んでいったのか、など世の中であまり知られていない部分も描かなければと思っていました。
―ライアンさんは本作で主人公を演じるうえで葛藤はありましたか?
ライアン:ニールはミクロとマクロの両方を見ることができる、たった1歩に人類の跳躍を見ることができる男でした。また、彼の家族や彼自身がどんなことを経験したのかということを全く知らなかったので、それを皆さんにお届けしたいと考えています。
―『ラ・ラ・ランド』には、映像の表現的にも演技的にも観ていてびっくりするほど素晴らしいシーンがありました。今回の『ファースト・マン』も映像的に迫力がありましたし、観ていて感情に迫る部分がたくさんありました。そういった映像を作るうえで、最大のチャレンジだった点は?
デイミアン:他の作品でも宇宙空間というものは表現されていて、本作ではどう差別化するかが一番チャレンジングだったところでもあります。16ミリフィルムを使ったり、閉塞的な手持ちカメラのちょっとガタガタした感じ。いわゆるハリウッドでよくある、壮大でクリアな宇宙とは差別化を図りました。
―演技をするうえで一番難しかったところは?
ライアン:彼は感じていることを表に出すようなタイプの人間ではなかったので、演じるうえで、そういった彼の側面を一切変えることなく、観客の方に彼とつながりを持ってもらうということが一番重要でした。
―実話に基づく映画というのは、取材対象に対して敬意を持って描かなければならないものだと思います。具体的にどんなところに敬意を払ったかを教えてください。
デイミアン:ニールの元妻のジャネット、そしてリックとマークら彼の子どもたち、そしてニールの元同僚やその家族が、事実に基づいて作品が作れるよう協力してくれました。家族や彼の友人・知人がこの作品をご覧になるので、責任は重大です。事実に忠実に、そして誠実に描かくように努めました。その時期のNASAや、歴史の良い部分だけではなく、悪い面にも目を向けて物語を描いています。
ライアン:ニールとジャネットの子供たちが本作を目にするので、尊敬の念を抱いて彼らの父親を演じることがとても大切でした。彼らが作品を観た後も、この映画に対して引き続きサポートしてくれたので、僕らの作ったものが成功だったんだと感じることができて、とても安心しました。
『ファースト・マン』
『ラ・ラ・ランド』デイミアン・チャゼル監督×ライアン・ゴズリング 夢をかなえる最強タッグ再び!
まだスマホも携帯電話もなかった時代に、月へと飛び立ったアポロ11号。それは、人類初の月面着陸という、前人未踏の未知なるミッションにして、人類史上最も危険なミッションだった…。
制作年: | 2018 |
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監督: | |
脚本: | |
音楽: | |
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