なぜ「フランケンシュタイン」は注目され続けるのか?
「フランケンシュタイン」といえば、マッドサイエンティストが死体から蘇らせた青白い肌のモンスターで、大きな体とツギハギだらけの顔を持つ恐ろしい存在……そんなイメージで語られてきた。
イギリスの小説家メアリー・シェリーが1818年に出版した「フランケンシュタイン」を原典に、1931年の映画化作品によって浸透。同作は1935年の『フランケンシュタインの花嫁』ほかシリーズ化され、ドラキュラや狼男らと並ぶユニバーサル・モンスターズの一員として定着した。
Remembering the British filmmaker, James Whale, on his 135th birthday!
Frankenstein (1931)
Director: James Whale pic.twitter.com/n8bnCcw3rv— DepressedBergman (@DannyDrinksWine) July 22, 2024
その後70年代まではホラー界の巨頭として怪獣化したりと大忙しだったが、80年代以降はコメディ映画などにも軽やかに登場。やや形骸化しつつあるが、いちモンスターにとどまらない“フランケンという概念”としてポップカルチャーに君臨している。
今ふたたびフランケンがアツい! 新作映画続々公開
そんなフランケンが今ふたたび、そして過去にないほど注目を集めている。ヨルゴス・ランティモス監督の『哀れなるものたち』(2023年)は日本でも大ヒットしたが、キャラ造形を含めフランケンシュタインを再構築したような物語だった。
Mark Ruffalo, Emma Stone and Willem Dafoe on the set of POOR THINGS (2023). pic.twitter.com/sO5uGgMpCh
— All The Right Movies (@ATRightMovies) March 28, 2024
今年11月には、あのギレルモ・デル・トロ監督がオスカー・アイザックらの出演で制作した、その名もズバリ『Frankenstein(原題)』が本国公開予定。デル・トロ監督がフランケンへの積年の愛情を注ぎ込んだ作品として注目されている。
またマギー・ギレンホール監督、クリスチャン・ベール主演のワーナー・ブラザース映画『The Bride!(原題)』も今年9月に本国公開予定で、こちらは『~花嫁』にインスパイアされたミュージカル映画になる模様。なお日本でもフランケンがテーマのミュージカル劇が根強い人気で、人気俳優をキャスティングし長期上演されている。
Our first look at Christian Bale as Frankenstein’s monster and Jessie Buckley as The Bride of Frankenstein.
Maggie Gyllenhaal’s #TheBride is scheduled to arrive in theaters on October 3, 2025. pic.twitter.com/QvaYxaTiPu
— Rotten Tomatoes (@RottenTomatoes) April 4, 2024
若い世代にとっては、周囲に理解されず偏見や中傷にさらされるフランケンや花嫁の存在は感情移入の対象でもあるだろう。現実世界に心の拠り所を見いだせない人々がある意味で極端な存在にシンパシーを抱くことは世代を問わず、その苦悩や復讐への共鳴、実存の模索というテーマは音楽の世界でも取り入れられている。