アメコミ映画の変遷
「アメコミ」という言葉が日本のお茶の間まで浸透したのは、間違いなくDCやマーベル作品の映画化のおかげだろう。国内では数十年前から翻訳コミックも刊行されており、海の向こうの漫画カルチャーとして一部で熱烈な支持を得るも、多くの読者は“通過”してしまうニッチなものであった。
1930年代にアメコミから生まれたスーパーヒーローは同時代に映像化もされたが、世界的に大ヒットしたのが1978年のご存知『スーパーマン』。続いて同じくDCの『バットマン』もイメージを一新した映画版(1989年)が大ヒットし、90年代には分かりやすいスーパーヒーローもの以外のダークなコミックの映画化も推し進められた。
そうした下地のおかげで00年代にはアメコミ映画カルチャーが一層花開き、2008年の『アイアンマン』から始まるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の快進撃がスタート。DCコミックもスーパーマンとバットマンの二枚看板を軸に、自社の抱えるヒーローたちを続々ソロ映画化していく。
そんなアメコミ映画の中でも紆余曲折、様々な変化を遂げたヒーローといえば、やはりバットマンだ。60年代のTVシリーズは日本でも再放送されていたので幅広い世代に認識されているが、バットマンほど作品毎に時事性を背負わされてきたキャラクターも珍しいだろう。
映画史を変えたスーパーヒーロー三部作
そしてバットマン映画でもっとも高く評価されているのが、クリストファー・ノーラン監督による『ダークナイト』シリーズ三部作(2005~2012年)。とくに2008年の『ダークナイト』はヒーロー映画として最大の興行成績をあげ、アカデミー賞を席巻。その他“はじめて”尽くしの快挙の連続によってアメコミ映画ファンを爆増させただけでなく、その後のヒーロー映画の常識を一変させてしまった。
もはや映画を語るうえで避けて通れなくなった『ダークナイト』三部作だが、当然ながら公開時のブームに気圧されてスルーしてしまった映画ファンや、そもそもその影響力を認識していない若い世代も少なくないだろう。そこでおすすめしたいのが、シリーズ全作をTV放送するCS特集「ダークナイト三部作 イッキ観!」だ。
「今さら“まったく観てない”なんて言いづらい…」「何がそんなに評価されてるの?」なんて人は、ぜひこの機会にご自宅でイッキ観してみては?