かわいいビッチが主人公! ……のはずが、いきなり死亡!?
自分の誕生日、二日酔いの頭痛に苦しみながら目が覚めたら、知らない男のベッドにいた。『ハッピー・デス・デイ』は、そんな生活を送っている女子大生・ツリー(ジェシカ・ロース)が主人公だ。はっきり言って共感できない人物。しかし、物語が進むうちに変化が訪れる。つまり成長するわけだが、どういう過程かというと、これが“殺されながらの成長”なのだった。
知らない男の部屋で目覚めた、その日の夜。ツリーは大学のバスケチーム応援用マスクをつけた謎の人物に殺される。この映画、なんと“主人公が殺される”のがすべての発端なのだ。そして殺されたと思ったら、また同じ誕生日に同じ男のベッドで目が覚める。
何度も何度も殺されては目が覚めて、これはいったいどういうことだ? と謎解きにかかるわけだが、怪しい人間を片っ端から調べて「こいつじゃなかった」で殺され、「あいつはどうだ」でまた殺され……。しかも、殺され方は毎回違うという恐怖もついてくる。
そうやって“死んでは目覚めて”の同じ1日を繰り返していくうちに、ツリーは周囲の人間に対する理解を深めていくことになる。この異常な体験によって、自分自身も変わっていくのだ。
スリルと笑いが散りばめられたループ系青春ホラーコメディ!
これ、映画ファンなら「あれが元ネタだな」と分かるはず。その通り、『ハッピー・デス・デイ』は“あの映画”の青春ホラーコメディ版だ。かといって、もちろん単なる“イタダキ”やパロディではない。
殺されながら犯人探しをするという斬新さとスリル。随所に散りばめられたブラックな笑い。ひねりにひねった展開は先を読むのが難しく、つまりそれだけストーリーに入り込むことができる。
「てことは、ああなる?」だったり「いや、これじゃ終わんないでしょ」だったり、頭の中で映画と対話(知恵くらべ)している感覚も楽しい。一見さん大歓迎、映画ファンならば、なお楽しめるはずだ(ツリーが目覚める部屋のポスターにも注目)。
ヒット作連発で話題のブラムハウス・プロダクション製作、フレッシュで切れ味鋭い快作は、2019年7月12日(金)公開の続編『ハッピー・デス・デイ 2U』まで“含めて必見”と言っておきたい。
文・橋本宗洋
『ハッピー・デス・デイ』は2019年6月28日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
『ハッピー・デス・デイ』
ビッチな女子大生ツリーは誕生日の朝、泥酔し見知らぬ男のベッドで目を覚ます。だが「今日はすでに経験している」ように感じるのだ…。
執拗に迫る殺人鬼の正体は?爆笑と恐怖をループで繰り返す、コメディ・ホラー!
制作年: | 2017 |
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監督: | |
出演: |