チャック・ノリスという男
「チャック・ノリス」という名を聞いてニヤリとしてしまう映画ファンは、おそらくアラフォー世代以上だろう。元空手チャンピオンであり俳優のノリスは、文字通りアクション映画の頂点に君臨する殿堂入りスターだ。
10代で米空軍に入隊したノリスは韓国に配属された際に空手を学び、退役後は国内外で数々の大会を制覇。やがてアメリカにおける武道家を代表するような存在となった彼は、道場を経営し映画スターに稽古をつけることもあった。そして30歳のときに交流のあったブルース・リー経由で映画に関わるようになり、ついに本格的に俳優デビューを果たす。そう、『ドラゴンへの道』(1972年)の武術家コルト(字幕ではゴードン)役である。
アメリカ撮影の香港アクション作品などで場数を踏んだノリスは、のちにシリーズ化もされた『地獄のヒーロー』(1984年)で本格ブレイク。奇しくも同じベトナム帰還兵が主人公の『ランボー』シリーズとほぼ同タイミングの作品であり、ノリスのイメージを決定づけた世界的ヒット作だ。
ネタか真実か? チャック・ノリスの大喜利的ネットミーム
もしかすると若い世代の映画ファンの中には、「チャック・ノリス・ファクト」というネットミームで彼の名を知ったという人もいるかもしれない。これはインターネット普及期に盛り上がった大喜利的ミームで、キャリアの低迷期だったノリスの知名度を押し上げる結果に。2012年には伝説級アクション俳優おしくらまんじゅう映画『エクスペンダブルズ2』にもゲスト登場し、みずからファクトを披露し喝采と爆笑をさらった。
『エクスペ2』で披露されたのは「かつてキングコブラに足を噛まれ5日間にわたって激痛に苦しんだ結果、コブラのほうが死んだ」という有名なファクト。他には「彼のピースサインは“平和”ではなく、“お前の命はあと2秒”を意味する」なんかも鉄板だが、せっかくなのでノリス・ファクトのごく一部をざっと紹介しておこう。