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なぜ「最高裁判所で公式上映」された? ボリウッドの偉人アーミル・カーンが語る『花嫁はどこへ?』制作秘話

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ライター:#松岡環
なぜ「最高裁判所で公式上映」された? ボリウッドの偉人アーミル・カーンが語る『花嫁はどこへ?』制作秘話
『花嫁はどこへ?』© Aamir Khan Films LLP 2024
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ボリウッドが誇る「3人のカーン」とは?

ボリウッドこと、ヒンディー語映画界のトップスターは「3人のカーン」。共に1965年生まれのアーミル・カーンシャー・ルク・カーンサルマーン・カーンの3人である。アーミルは1988年、サルマーンは1989年、シャー・ルクは1993年、いずれもデビュー後間もなく大ブレイクして以来、トップスターの座を30年以上にわたって守り続けている。

アーミル・カーン

3人とも映画製作会社を所有し、随時プロデューサーとしても活躍しているが、中でもアーミルは意義ある作品を世に出すことで、観客や映画評論家の信頼を勝ち取ってきた。日本では映画祭上映とソフト発売の『ラガーン』(2001年)、劇場公開作『ダンガル きっと、つよくなる』(2016年)と『シークレット・スーパースター』(2017)、そしてNetflix配信作では、監督も手がけた『地上の星たち』(2007年)や、当時の妻キラン・ラオが監督した『ムンバイ・ダイアリーズ』(2011年)などがプロデュース作品だが、どれも秀作揃いである。

アーミル・カーン制作『花嫁はどこへ?』インタビュー

そのアーミルが今回プロデュースしたのは、何と2021年に離婚した元妻キラン・ラオ監督作の『花嫁はどこへ?』。キランもプロデューサーを兼任しており、結婚していた時は2010年以降つねに連名でプロデュースしていたとは言え、今もそんなに仲がいいとは。インタビューで本人に聞いてみると、そもそも、『花嫁はどこへ?』の脚本は、アーミルが発掘したものだという。

アーミル:シネスターンという映画会社の脚本コンテストがあってね、インド中から原案や脚本を送ってもらって審査するんだが、狙いは若い脚本家たちに機会を与え勇気づけることなんだ。僕は選考委員の1人で、送られてきたたくさんの脚本を読んだんだけど、その中でこの脚本に出会い、惚れ込んでしまった。コンテストの優勝作にはならなかったものの、僕的には最高の脚本で、すっかり気に入ってしまった。それでキランに連絡し、「君が監督するべき物語を見つけたよ」と伝えたわけだ。

アーミル・カーン(オンライン取材の様子)
『花嫁はどこへ?』© Aamir Khan Films LLP 2024

アーミルとキランは、イギリス統治時代に農民が年貢(ラガーン)を賭けてイギリス軍将校とクリケット試合を戦う、という『ラガーン』の製作時に知り合った。その後アーミルは、当時の妻リーナー・ダッターと2002年に離婚し、2005年にキランと再婚。2人の間には、2011年に生まれた息子アーザードがいる。

アーミル:キランの初監督作は、10数年前の『ムンバイ・ダイアリーズ』という僕も出演した作品でね、素敵な映画だった。でもそれ以降、彼女は次の作品が作れずにいた。すごく作りたがってはいたけれど、いろんな理由から、作る作品が決まらなかった。多分、僕らに子どもが出来たからだと思う。彼女の関心は100%子育てになり、映画製作は二の次、母親業が優先という感じがずっと続いたんだ。

やっと最近になって彼女は、映画製作に向き合える、と思えるようになり、そんな時にこの物語に出会ったので、「キラン、君がきっと気に入ると思うものを見つけたよ」と、実にいいタイミングで連絡ができた。キランも物語を気に入ってくれて、僕らはこの映画を製作することにした、という次第だよ。

『花嫁はどこへ?』© Aamir Khan Films LLP 2024

次ページ:最高裁判所から「公式上映」依頼の驚きエピソード
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『花嫁はどこへ?』

2001年、とあるインドの村。プールとジャヤ、結婚式を終えた2人の花嫁は同じ満員列車に乗って花婿の家に向かっていた。だが、たまたま同じ赤いベールで顔が隠れていたことから、プールの夫のディーパクがかん違いしてジャヤを連れ帰ってしまう。置き去りにされたプールは内気で従順、何事もディーパクに頼りきりで彼の家の住所も電話番号もわからない。そんな彼女をみて、屋台の女主人が手を差し伸べる。一方、聡明で強情なジャヤはディーパクの家族に、なぜか夫と自分の名前を偽って告げる。果たして、2人の予想外の人生のゆくえは──?

プロデューサー:アーミル・カーン、ジョーティー・デーシュパーンデー
監督・プロデューサー:キラン・ラオ

出演:ニターンシー・ ゴーエル、プラティバー・ ランター
    スパルシュ・ シュリーワースタウ、ラヴィ・キシャン、チャヤ・カダム

制作年: 2024