「逃げる準備」に勤しむ億万長者たち
いま世界中の億万長者たちが、こぞって“地下シェルター”を建設しているらしい。ご存知マーク・ザッカーバーグはハワイに100億円規模の土地(島)を購入し、さらに数百億円を費やして極秘裏に巨大複合施設を建設中。その地下には自給自足ができるシェルター的な施設が建設されているという。
世界に/地球に“なにかがあった”際にザッカーバーグはここに逃げ込んで扉を閉ざし、危難が去るのを待つのだろうか。このプロジェクトは口外することが厳しく禁じられているそうだが、建設に従事した地元民たちがシェルターを利用できるわけではなさそうだ。もしもSF映画ならば、内部を知るものは“口封じ”されそうな話だが……。
こういった“方舟”的なプロジェクトは他の富豪たちも行っていて、投資家のピーター・ティールはニュージランド国籍を取得して同地に巨大な土地を購入し、同自治体と景観をめぐって揉めていることが報じられていた。またOpenAIのサム・アルトマンは、このティールの大いなる避難計画(?)に誘われているという。
もちろん富裕層向けに堅牢な地下シェルターを販売する企業もあるが、彼らの行動の根っこには生への執着というよりも、「死」というものに対する反発、すさまじい抵抗心があるように思える。「何が起こっても自分たちだけは生き延びる」という執念は、まるでNetflixの『ドント・ルック・アップ』(2021年)で描かれた富豪たちのようだが、われわれ庶民に置き換えれば“厳しいサバイバル生活”の現実味が高まっているとも言えるだろう。
現在CS映画専門チャンネル ムービープラスで放送中の「宇宙の日記念!SF映画特集」では、そんな“映画みたい”な出来事をテーマにした作品がラインナップされている。電脳化が進み人間の体が<器 うつわ>になる日はまだ先のことになりそうだが、類稀な知性と商才でそれらを推し進めたはずの富豪たちが恐れる<終末>は、意外と目の前までやってきているのかも……?