主演に丸山隆平、共演に真木よう子、三浦綺羅、寺尾聰を迎えた感涙のヒューマンサスペンス『金子差入店』(2025年公開)が、10月2日(水)~11日(金)に開催される「第29回釜山国際映画祭」のコンペティション部門【NEW CURRENTS部門】への出品が決定した。
刑務所や拘置所への差入を代行する「差入屋」
知っていますか?「差入屋」という仕事があることを。刑務所や拘置所に収容された人への差入には、厳しい審査や検閲がある。差入と聞いて、私たちが頭に思い浮かべる物のほとんどは、許可されないだろう。そこで、登場するのがルールを熟知した差入屋だ。また、様々な事情から面会に行くことができない人たちに代わって、面会室へ出向くこともある。そんな差入店を営む家族の絆を描く映画が誕生した。
差入店の店主を務める主人公の金子には、『泥棒役者』以来8年ぶりの主役を演じる丸山隆平。近年では、2022年にジョン・キャメロン・ミッチェル演出の伝説のブロードウェイミュージカル「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」や、三浦大輔(作・演出)「ハザカイキ」(24)で主演を果たし、高く評価された。人に言えない過去を抱え、息子のために生き直そうとする男を、これまでの丸山のイメージとは一線を画す迫真の演技で情感豊かに体現した。
金子の妻の美和子には、2013年の日本アカデミー賞で、『そして父になる』で助演女優賞、『さよなら渓谷』で主演女優賞をW受賞し、今泉力哉監督とタッグを組んだ『アンダーカレント』(23)の名演も記憶に新しい真木よう子。確かな演技力で、世の中の価値観に惑わされず自らの信念を静かに貫く美和子を芯に強さのある柔らかさで表現した。二人の息子の和真には、NHK大河ドラマ「光る君へ」に藤原道長の長男役で出演するなど、今最も注目される子役の一人、三浦綺羅。3人と一緒に暮らす金子の叔父の星田には、日本のエンターテインメント界の重鎮、寺尾聰。2016年に主演を務めたドラマ「仰げば尊し」の現場で制作スタッフだった古川豪の才能にふれ本作への出演を決めた。本作では要所要所で家族を支える星田を飄々とした優しさで演じている。そして、監督は古川豪。本作で長編初監督を務め、新たな才能でオリジナル脚本も自ら手掛けている。
釜山国際映画祭は、世界中から300本ほどの作品が出品されるアジアを代表する最大規模の映画祭で、今回出品が決定した【NEW CURRENTS部門】は、釜山国際映画祭のメインコンペティション部門の一つで、アジア新鋭監督の初長編監督作または第二長編監督作が対象となり、今年は10本の映画が選出。昨年には『福田村事件』(23年/森達也監督)が出品され、ニューカレンツ賞(最優秀作品賞)を受賞しており、日本映画の2年連続の受賞も期待される。
<コメント>
主演:丸山隆平
この映画の登場人物たちは、家族の中の小さいけれど大事な出来事から、社会で起きた大きな事件まで、同時進行で向き合っています。それは今この瞬間も、世界中の人々が直面していることではないでしょうか。言葉や習慣の違う国で、どんな風に受け止められるのか、とても楽しみにしています。国境を越えて、一人でも多くの方々に、この作品が届くことを願っています。
監督・脚本:古川豪
率直に嬉しいです。どこか夢なのでは?と思うほどに、作品成立までの道のりがギフトをいただきっぱなしだったので、まだこんなに素晴らしいことが起こるのかと、どこか実感が湧かない側面も正直あります。長編作品を世に送り出すことが初ですので色々と不安だらけでしたが、ある一定数評価されたからこその結果だと思えば、喜びもひとしおです。改めて素晴らしい俳優陣と優秀なスタッフ陣に感謝です。引き続き、『金子差入店』をよろしくお願いいたします。
『金子差入店』は2025年、全国ロードショー