呂布カルマ×『モンキーマン』
あのジョーダン・ピール(『ゲット・アウト』『NOPE/ノープ』)が自ら買い付けてまで劇場公開させた、全米初登場2位の大注目作『モンキーマン』が、8月23日(金)より全国公開中。『スラムドッグ$ミリオネア』などで知られる俳優デヴ・パテルの主演兼“初”監督作(原案&脚本も!)として早くから注目を集めていた本作は「愛」と「復讐」が満載の、全映画ファンが拳を握り涙するであろうバイオレンス・ノワールに仕上がっている。
インドの架空のスラム街を舞台に、「母を殺した悪の権力者たちへのリベンジ」を誓った青年キッドが、文字通り“下から上へ”と這い上がっていく姿を描く『モンキーマン』。混沌としたインドの空気と格差社会の絶望感、血まみれの格闘アクションが満載の本作を一足先に体感したのは、プロのラッパーでありグラビアディガーとしても知られる<呂布カルマ>だ。
S.S.ラージャマウリ監督の『バーフバリ』と『RRR』を生涯ベスト映画の一つに挙げる呂布カルマは、そんな本作をどう見たのか? 様々なラッパーが1対1でしのぎを削るMCバトルから音楽フェス、お茶の間に流れる報道番組やCMまで、あらゆる方面で活躍する才人らしい目線が光るインタビューの【前編】をどうぞ。
※物語の内容に触れています。ご注意ください。
「シビれる2時間、でも体力を使う映画」
――写真集の撮影(!)で訪れたというインド旅の感想や、ラージャマウリ監督作品への想いなども気になるところだが、まずはやはり『モンキーマン』への、ズバリ率直な感想について語ってもらうことに。
『モンキーマン』は本当に、“ずっと暴力”です。そしてインドの暑い、生臭い、埃っぽい雰囲気が充満していて、“辛く苦しい映像体験”なんですけど(笑)、直接的な暴力だけでなく、映像自体にも暴力性がすごくあって。シビれる2時間ですが結構、体力を使う映画です。底辺の、日本じゃ想像できないくらいの底辺にいる男が、母の仇を討つために<復讐の化神>になって、とんでもない暴力を繰り広げる。なんかもう、苦しい映画ですね。
主人公のキッドには、最終的な“復讐の相手”がいるじゃないですか。でも、あいつは果たして本当に“悪い奴”だったのか? というのは分からない。もちろん村を焼いたりと悪いことはしてるんですけど、もっと大きなことを成し遂げる、国を変えるために動いている可能性もあったように描かれていて。
本当に、ただの私利私欲のためだけにやってたのか? そういう部分もあったから、キッドの復讐自体に虚しさみたいなものも感じさせられました。お前の目的は果たされたかもしれないけど、国は変わるのか? 良くなるのか? っていう“分からなさ”というか。あいつ(黒幕)に救われている人もいるんだろうなって。
逆に、警察署長のラナは完全な悪なのに、戦いは正々堂々としてましたね。罠とかを仕掛けるわけでもなく、ちゃんと待ってる(笑)。そこにブルース・リー映画っぽさもありましたね、一人ずつ倒していくっていう。あと、売春宿の元締みたいなヤツとかなりねちっこく戦うシーンがありますけど、なぜか鼻を執拗に攻めるカットが何度かあって、「なにこれ」と思いながら観てました(笑)。
『モンキーマン』
たった一つの小さな残り火が、すべてを燃やし尽くす。
幼い頃に母を殺され、人生の全てを奪われた〈キッド〉は、夜な夜な開催される闇のファイトクラブで猿のマスクを被り、〈モンキーマン〉を名乗る“殴られ屋”として生計を立てていた。
どん底で苦しみながら生きてきた彼だったが、自分から全てを奪ったヤツらのアジトに潜入する方法を偶然にも見つける――。
何年も押し殺してきた怒りを爆発させたキッドの目的はただ一つ「ヤツらを殺す」。
【復讐の化神〈モンキーマン〉】となった彼の、人生をかけた壮絶なる復讐劇が幕を開ける!
監督・脚本・主演:デヴ・パテル
プロデューサー:ジョーダン・ピール(『ゲット・アウト』『NOPE/ノープ』)、バジル・イワニク(『ジョン・ウィック』シリーズ)、エリカ・リー(『ジョン・ウィック』シリーズ)
制作年: | 2024 |
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2024年8月23日(金)より大ヒット公開中