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「ダダン・ダン・ダダン」のテーマ曲はフライパンの音も使用!『ターミネーター2』ほかシュワルツェネッガー映画の〈音楽〉を濃厚解説

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ライター:#森本康治
「ダダン・ダン・ダダン」のテーマ曲はフライパンの音も使用!『ターミネーター2』ほかシュワルツェネッガー映画の〈音楽〉を濃厚解説
『ターミネーター2』© 1991 STUDIOCANAL - All Rights Reserved
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『ターミネーター2』リバイバル上映

アーノルド・シュワルツェネッガー×ジェームズ・キャメロンのタッグが世に放ったSFアクション映画の傑作『ターミネーター2』(1991年)が、2024年8月23日(金)から2週間限定でリバイバル上映される。BS/CSはもとより地上波でも何度も放送されている作品だが、劇場で鑑賞することで、新たな発見やいつもと違う感動に出会えるかもしれない。

『ターミネーター2』
価格:DVD¥2,800+税
発売・販売元:株式会社KADOKAWA
© 1991 STUDIOCANAL – All Rights Reserved

今回のリバイバル上映の機会に、『ターミネーター2』と1984年製作の記念すべき第1作、そして同じく8~9月にTV放送されるシュワルツェネッガー主演作3タイトルの音楽を、簡単に振り返っていきたいと思う。

筆者私物

不滅のテーマ曲を作った男、ブラッド・フィーデル

「ダダン・ダン・ダダン!」という力強いリズムが印象的なメインテーマをはじめとする『ターミネーター』の劇伴を作曲したのは、1980年代当時テレビ映画/テレビシリーズの作曲家として売り出し中だったブラッド・フィーデル。低予算映画だった第1作では「機械人間とその鼓動」というアイデアをもとに、劇伴の9割をアナログシンセ(Oberheim, Prophet-10, ARP 2600)で制作。フライパンをハンマーで叩いた音を加工して、金属的な打楽器音にしたのはつとに有名な話である。

テーマ曲で聴かれるユニークな拍子も、2機のシンセを手作業でピッタリ同期できなかったものが独特な推進力を持つリズムパターンになり、それをフィーデルが気に入って使用したものだったという。このような“手作り感”と即興性が随所に現れているのが、『ターミネーター』第1作の音楽の魅力と言えるだろう。

なおフィーデル自身はこの特徴的なリズムだけでなく、エモーショナルなメロディも「ターミネーターのテーマ」において重要なものと考えているようだ。両者の対比/組み合わせによって「自我を持った人工知能が引き起こす人類滅亡の危機」という物語の主題が明確なものになるからである。

「より温かみのある音」「機械的で流動性のある音」が求められた『ターミネーター2』

製作費が大幅にアップした続編では、「ジョン・コナーとT-800との交流」というストーリー展開に合わせて、音楽も前作より“温かみのある音”が求められた。とはいえ時間に余裕のないタイトな制作スケジュールだったため、生のオーケストラは使えず、フィーデルはFairlight CMIを2機導入して曲を作っていった。1機はパーカッショントラック、もう1機は持続音的な要素を持ったトラックの作成に使用したという。

エレクトリック・ヴァイオリンや金管楽器の即興演奏をサンプリングし、ピッチを極端に落とす、音を歪ませる、オーバーダビングするなど、あらゆる手法を駆使して有機的かつ近未来的な音を創作。こうして生み出されたユニークなサウンドは、液体金属の体を持つT-1000を象徴する「機械的で流動性のある音」として効果を発揮した。そしてシンセサイザーの発展に伴い、メインテーマもより重厚な音と洗練されたリズムで生まれ変わった。一般に広く知られている「ターミネーターのテーマ」は、この『ターミネーター2』のバージョンである。

次ページ:新旧シュワちゃん映画の変遷を音楽で辿る
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