名優ジャンヌ・モローの監督作を一挙上映する『映画作家 ジャンヌ・モロー』が、10月11日(金)より公開される。このたび、日本版ビジュアルが解禁となった。
名優ジャンヌ・モローが監督した知られざる3作品
映画史にその名を刻む、フランスを代表する〈女優〉ジャンヌ・モロー(1928-2017)。オーソン・ウェルズ、フランソワ・トリュフォー、ルイ・マル、ルイス・ブニュエルら〈巨匠〉〈名匠〉たちと共に数々の名作に携わった彼女の映画への情熱と好奇心に満ちた創造力は、〈映画監督〉としても発揮された。40歳代で初めて監督を務めたモローは、「私は女たちを称賛している。ありのままの姿を彼女たちに示そうと思った。男たちが示す形ではなく」と語った。その言葉通り、彼女の映画には様々な年代の女性たちの率直な言葉や飾り気のない姿が映し出されている。70年代から80年代にかけて作られた、女性(たち)をめぐる3つの監督作品を一挙公開。監督第一作『リュミエール』とドキュメンタリー作品『リリアン・ギッシュの肖像』は日本の劇場では初めてのロードショーとなる。
ジャンヌ・モロー(Jeanne Moreau)
1928年1月23日、フランス・パリ生まれ。フランス国立高等演劇学校(コンセルヴァトワール)で学び、演劇活動を開始。劇団「コメディ・フランセーズ」の舞台などの経験を経て、数多くの映画に出演。フランスを代表する俳優として活躍した。その活動は国内外から高く評価され、1995年と2008年に名誉セザール賞、2003年にカンヌ国際映画祭パルム・ドール名誉賞、1992年にヴェネツィア国際映画祭栄誉金獅子賞、1997年にヨーロッパ映画賞生涯貢献賞、2000年にベルリン国際映画祭金熊名誉賞、そして、2007年には芸術文化勲章のコマンドゥールを受勲している。1971年にはシモーヌ・ド・ボーヴォワールやカトリーヌ・ドヌーヴらと共に、中絶の合法化を求める嘆願書「343人のマニフェスト」に署名。その行動は、法律(通称「ヴェイユ法」)成立へと導いた。2017年7月31日、死去。
ジャンヌ・モローが女性たちをいきいきと描いた、新たな視点で見返すべき傑作群
監督デビュー作『リュミエール』は、女優4人を主人公に映画業界を内部から描く作品で、モロー自身の半生を彷彿とさせる。女優の一人サラ役をモローが演じている。ドイツの名優ブルーノ・ガンツが出演し、タンゴを革新した作曲家アストル・ピアソラが音楽を担当。
『思春期』は、戦争の影が迫る1939年の夏、少女マリーの忘れられない夏休みを丹精込めて紡いだ傑作。伝説的な女優シモーヌ・シニョレが孫を優しく見守る祖母役で出演。日本では1986年に『ジャンヌ・モローの思春期』のタイトルで劇場公開された。
『リリアン・ギッシュの肖像』は、「歴史的女優」リリアン・ギッシュに迫るドキュメンタリー。ギッシュとの対話から浮かび上がる映画の歴史と好奇心に満ちた人生に胸が熱くなる。映画史の影に隠れていたモロー監督作は、女性たちのありままの姿がいきいきと映し出され、今こそ現代的な視点で見返すべき傑作群といえる。
日本版ビジュアルは、ヴァカンスをイメージした爽やかなペパーミントグリーンを背景に、女性の登場人物が二人ずつ並んだ3作品の写真が配置され、「女が女の映画をつくるということ」というモロー自身のことばの引用がキャッチコピーとして添えられている。
『映画作家 ジャンヌ・モロー』は10月11日(金)より新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開