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映画『るろうに剣心』は『龍馬伝』の“その後”の物語だった?大谷翔平との意外な繋がりも!福山雅治ら共通キャスト解説&トリビア【シリーズ3作一挙TV放送】

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ライター:#谷川建司
映画『るろうに剣心』は『龍馬伝』の“その後”の物語だった?大谷翔平との意外な繋がりも!福山雅治ら共通キャスト解説&トリビア【シリーズ3作一挙TV放送】
『るろうに剣心』©和月伸宏/集英社 © 2012 「るろうに剣心」製作委員会
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世界市場を見据えた映画『るろ剣』のハリウッド・クオリティ

和月伸宏による「るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―」が<週刊少年ジャンプ>に連載されたのは1994年~1999年にかけてのこと。頬に十字の傷のある主人公、緋村剣心は幕末期に長州藩に雇われて“人斬り抜刀斎”と恐れられた剣客で、明治の世になって流浪の身となっていたが、江戸で出会った神谷活心流道場の師範代・神谷薫や、その門弟の少年・明神弥彦、斬馬刀を振り回す怪力の相楽左之助、女医の高荷恵らと知り合い、様々な敵と対峙しながら、贖罪の気持ちと共に新しい時代の生き方を模索していく。

るろうに剣心―明治剣客浪漫譚― カラー版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

「るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―」 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

1996年~1998年にかけてはTVアニメ化されて人気を博し、アメリカや英語圏の国々では『SAMURAI X』のタイトルで多くのファンを獲得した「るろ剣」。実写映画版は、もちろんこうした人気の延長上に三部作、そしてその後さらに最終章二部作が製作されたのだが、特筆すべきは、それがハリウッドのメジャー・スタジオの現地製作映画としてワーナー・ブラザースで製作・配給された作品だということ。……つまり、狭い日本国内マーケットだけでなく、世界市場を念頭に製作されたハリウッド・クオリティの作品である点が重要なのだ。

『るろうに剣心』©和月伸宏/集英社 © 2012 「るろうに剣心」製作委員会
『るろうに剣心 京都大火編』『るろうに剣心 伝説の最期編』©和月伸宏/集英社 © 2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

ちなみに、本シリーズの製作総指揮を務めていたワーナー・ブラザース・ジャパン代表のウィリアム・アイアトンの息子が、現在、ロサンゼルス・ドジャーズで大谷翔平の通訳を務めているウィル・アイアトンである。

NHK大河ドラマ『龍馬伝』のその後の物語、というニュアンスでの映画化

映画『るろうに剣心』シリーズの監督を務めた大友啓史はNHK出身で、特に2010年の大河ドラマ『龍馬伝』でのリアリティ溢れる演出で大反響を呼び、直後に独立。『るろうに剣心』シリーズ第1作は2011年製作、翌2012年に公開されたが、その大友監督が初監督作品の主役=緋村剣心に選んだ佐藤健は『龍馬伝』では“人斬り以蔵”こと岡田以蔵役で、主役の福山雅治に肉薄するほどの人気を博していた。

龍馬伝 完結編 (NHK 大河ドラマ・ストーリー)

龍馬伝 完結編 (NHK 大河ドラマ・ストーリー)

 

つまり、監督・主演のコンビは、『龍馬伝』の劇中で拷問の末に刑死した以蔵が明治維新後も生き残り、新しい時代を生きたとしたらどうなったか、というヴァーチャルな展開を企図、あるいは問題意識を共有しながら『るろうに剣心』に取り組んだことになる。佐藤健の剣心は、原作漫画の主人公がよく口にする「おろ?」というようなとぼけた台詞も口にはするものの、漫画の実写映画化作品にありがちな戯画化しすぎた造形ではなく、血の通った、葛藤を抱える主人公として信じるに足る人物になっている。

『るろうに剣心』©和月伸宏/集英社 © 2012 「るろうに剣心」製作委員会

物語は、緋村剣心を始めとする架空の登場人物たちと共に、剣心とは合わせ鏡のような存在である、元・新撰組で明治維新後は警察官として明治政府の下で新たな時代に対応していった斎藤一、その上司=警視総監となった薩摩の川路利良、内務卿の大久保利通、あるいは長州出身の山縣有朋、伊藤博文といった歴史上の実在の人物たちとが複雑に交錯する物語構成が魅力で、それらの人物たちは劇映画版にも登場する。

『るろうに剣心』©和月伸宏/集英社 © 2012 「るろうに剣心」製作委員会

なお、緋村剣心自身のモデルとなったのは、岡田以蔵、田中新兵衛、中村半次郎とともに“四大人斬り”の一人としての異名をとった熊本藩士・河上彦斎(げんさい)だと言われている。

定本河上彦斎 (1974年)

定本河上彦斎 (1974年)

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