韓国の「1億俳優」ファン・ジョンミン
韓国では、主演作の累計観客動員が1億人を超える俳優は「1億俳優」と呼ばれる。その中の一人がファン・ジョンミンだ。
ここ日本でも圧倒的な知名度を誇るジョンミンの魅力は、なんといっても演技力。徹底的な役作りで知られ、ネットでパッと検索しただけでも“路上生活”、“1週間で20kg減量”など、ロバート・デ・ニーロも「やめとけ」と制止しそうなストイックな役作りエピソードが次々と出てくる。
過去のインタビュー記事を読んでいても、「観客が見に来てくださることに感謝し、チケット代に相当する価値がなければならない」「人の人生を簡単に真似するなんてとんでもない」と、プロ意識の塊だ。
実際、マフィアのボスから悪徳市長、祈祷師から自分自身(!?)まで幅広く演じ、その出演作は端役であろうが関係なく観るもの全てに強烈なインパクトを残す。
そして12月、CS映画専門チャンネル ムービープラスで「ファン・ジョンミン特集」が放送される。個人的に一番思い入れがある作品を挙げるなら、劇場用パンフレットに寄稿させて頂いた『ただ悪より救いたまえ』(2021年)になるのだが、とくにジョンミンの魅力が爆発した作品という観点ならば『新しき世界』(2013年)」と『国際市場で逢いましょう』だろう。
前者で演じたのはヤクザの幹部、後者は激動の時代を生き抜いた一般人と、彼の演技の幅広さがわかりやすく堪能できる2作でもある。ということで、微力ながら彼の魅力について少し紹介できればと思う。
※物語の内容に触れています。ご注意ください。