前編では『ジョン・ウィック』過去シリーズ3作の見どころを紹介したが、ここでは最新作にして4作目『ジョン・ウィック:コンセクエンス』のアクション・シーンについて、イチから解説していきたい。
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※本レビューには『ジョン・ウィック:コンセクエンス』のネタバレが含まれます。未見の方はご注意ください。
「真田広之の参戦」という事件
出演者でもシリーズ史上最大級のゴージャスさをアピールしている本作。とくに日本の映画ファン的に嬉しいのは、日本アクション映画のリビングレジェンド、真田広之が参戦したことだろう。
80年代、JAC(ジャパンアクションクラブ)に在籍していた真田さんのアクションは、とにかく凄まじかった。初主演作の時代劇アクション『忍者武芸帳 百地三太夫』(1980年)では、空手アクションを導入したド迫力のチャンバラを披露。さらに桃山城の天守閣から緑色に濁った水が溜まるお堀にダイブ。森の中で空中ブランコに挑戦などのデンジャースタントにも挑戦し、僕らのハートに強烈な印象を焼き付けた。
続いて主演した空手アクション『吼えろ鉄拳』(1981年)では、自殺の名所・東尋坊の崖から1ミリも迷うことなくダイブ! さらに大海原の上空を飛ぶヘリからも前のめりにダイブ! 高層ビルをスパイダーマンのように自力で登る! 疾走する馬から爆走するジープに飛び移る! など限りなく自殺志願者に近いスタントを披露!
以上のことからもわかっていただけるように真田さんは80年代、日本アクション映画界の中で誰よりも最もあの世に近い場所で身体を張っていた。
この時期、間違いなく日本を代表するアクション・スターとなった真田さんは『龍の忍者』(1982年)、ミシェル・ヨーと共演した『皇家戦士』(1986年)といった香港映画にも出演。『龍の忍者』では当時のカンフー映画界で屈指の脚技の使い手だったウォン・チェン・リー相手に1ミクロンもひけをとらない死闘を繰り広げて、そのスキルが世界へ通用することをアピールした。
これが見たかった! 真田広之のガン・フー
その後、真田さんはアクション映画から遠ざかり、俳優としてのスキルもアピールしつつ、『ラスト・サムライ』(2003年)に出演して以降は活躍の場をハリウッドにシフトチェンジ。以後、『ラッシュアワー3』(2007年)ではジャッキー・チェンと戦い、『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年)ではウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)と、『アベンジ ャーズ/エンドゲーム』(2019年)ではホークアイ(ジェレミー・レナー)とのソードファイトを披露したように、アクションを封印していた頃が嘘のように積極的にアクション映画に出演。
そして、2021年には人気格闘ゲームの映画化作品『モータルコンバット』で超人気キャラであるスコーピオンを演じ、世界中のゲームファンのハートを鷲掴みにした。
そんな日本を代表するリビングレジェンド・アクションスターである真田さんが遂に『ジョン・ウィック』の世界に参戦した。が、実はチャド・スタエルスキ監督は、アイドル時代の真田さんのレコードを所有するほどのヒロユキ・ファンなので、前作『ジョン・ウィック:パラベラム』の時に、マーク・ダカスコスが演じた暗殺者ゼロ役で出演依頼していた。しかし、真田さんは先に『アベンジャーズ/エンドゲーム』の出演を引き受けてしまっていたため、泣く泣く出演を辞退……。
しかし、是が非でも真田さんに「ジョン・ウィック」に参戦してほしかったチャド監督は今回、真田さんを迎え入れるために、ジョンと兄弟杯を交わした盟友で、今は大阪・コンチネンタルホテルの総支配人を務めるシマヅ・コウジという最高に熱い役を用意。その熱意に応えた真田さんはファイト・シーンで、お得意の日本刀とハンドガン(グロッグ17)を駆使したガン・フーを披露してくれる。
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』
裏社会の掟を破り、粛清の包囲網から生還した伝説の殺し屋、ジョン・ウィック。地下に身を潜めながら、全てを牛耳る組織:主席連合から自由になるために立ち上がった。組織内での勢力拡大を狙う若き高官、グラモン侯爵は、これまで聖域としてジョンを守ってきたニューヨークのコンチネンタルホテルを爆破、ジョンの旧友でもあった盲目の達人ケインを強引に引き入れ、ジョン・ウィック狩りに乗り出す。そんな中、日本の友人シマヅの協力を求めてジョンが大阪のコンチネンタルホテルに現れた……。
監督:チャド・スタエルスキ
脚本:シェイ・ハッテン マイケル・フィンチ
出演:キアヌ・リーブス
ドニー・イェン 真田広之
ビル・スカルスガルド ローレンス・フィッシュバーン
シャミア・アンダーソン ランス・レディック リナ・サワヤマ
スコット・アドキンス イアン・マクシェーン
制作年: | 2023 |
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2023年9月22日(金)より全国公開
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キアヌ・リーブスが伝説の殺し屋に扮した大ヒットアクションの第4弾『ジョン・ウィック:コンセクエンス』を映画ライターのギンティ小林が徹底解説!川本耕史、伊澤彩織のインタビューなど盛りだくさんでお届け!
MC:小林麗菜 ゲスト解説:ギンティ小林
出演:川本耕史、伊澤彩織